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日米貿易協定が発効、米大統領選イヤーで第2弾交渉は年内進展なしか

  • 中国やEUと摩擦、対日交渉は優先順位が低い-みずほ総研・菅原氏
  • 日本の懸念は為替条項、金融などサービス、薬価制度、農業、自動車

日米間の農産品や自動車を除く工業品の関税撤廃・削減などを柱とする新たな2国間貿易協定が1日、発効した。日米両政府は今後、より包括的な協定に向けた第2弾の交渉に入る予定だが、米国の大統領選が11月に迫る中、本格的な協議進展の可能性は低いとの見方が出ている。

  日米貿易協定では、日本が牛・豚肉など米農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)と同水準に引き下げる一方、日本が求めていた自動車・同部品に対する関税は継続協議となり、それ以外の工業品の関税の撤廃・削減にとどまった。

  日本は、「聖域」とするコメを関税削減の対象から除外したことを最大の成果と位置付ける。米国が安全保障上の観点から検討する米通商拡大法232条に基づく自動車・同部品への25%の追加関税については、協定では触れなかったが、日本政府は両首脳間で追加関税の回避を確認したと説明している。

Vehicles Bound for Shipment As U.S. Withholds Auto Tariffs For Now

米国向けに輸出される日本車

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  今後は第2弾の交渉の行方が焦点となる。昨年9月の最終合意の際に公表された共同声明には発効後4カ月以内に対象分野を絞り込んだ上で、関税や他の貿易上の制約、サービス貿易、投資への障壁などを巡る交渉を始めることが明記されている。

  みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は、今年は米国で大統領選挙があることに加え、中国との貿易交渉の先行きも楽観はできず、さらに欧州連合(EU)との貿易摩擦も激化する可能性があるとした上で、「第2段階の日米交渉はトランプ政権にとっては優先順位が低くなる」と指摘。日本側も交渉を急いでおらず、20年中は協議が開始しても「進展はしないのではないか」との見方を示した。

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  ただ交渉範囲に関しては、日本側の懸念も少なくない。日本政府は為替に関しては、財務相間で議論することで首脳同士が合意していると主張するが、菅原氏は通貨安誘導を封じる為替条項について「米国は当然言ってくると思う」と話す。

  このほか、米国が関心を示している金融などサービスや投資分野の日本市場開放や薬価制度、農業分野でもさらなる要求がある可能性もある。自動車・同部品では、米国が日本車に課している2.5%の関税について、日本側が具体的な撤廃時期の交渉を進められるかも課題だ。菅原氏は、トランプ政権がちらつかせる25%の追加関税も「可能性がなくなったとは見ていない」との認識を示した。

  電子的な送信に対する関税を賦課しないといったデジタル分野でのハイレベルなルールなどを示した日米デジタル貿易協定も1日に発効した。 

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