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Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

グローバル市場の「炎と氷」、ウォール街の全てを変えた10年間

Pedestrians walk on Wall Street in front of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Friday, Oct. 19, 2018. The rebound in U.S. stocks lost steam as investors assessed the latest batch of corporate earnings and simmering geopolitical tensions ahead of the weekend.
Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

金融危機の焼け跡から、アニマルスピリットが息を吹き返したところから、この10年は始まった。株式相場は記録を更新、市場はボラティリティーを克服し、クレジットのスーパーサイクルは増強剤を与えられた。「炎と氷」の10年を駆け足で振り返る。

  欧州ソブリン債のメルトダウンから、ポピュリストの台頭、ボラティリティーが猛威を振るう「ボルマゲドン」、シェール革命に至る10年。政治では激震が走り、企業利益は安定を失い、クレジットには衝撃が及んだものの、強気市場で幕を引いた背景には、中央銀行の助け船があった。

Returns of the Decade

How the world's major macro asset classes fared over the last 10 years

Source: Bloomberg Barclays, Bloomberg, Morgan Stanley

NOTE: All returns in local currency, as of Dec. 19

  テレビで人気を博し始めたドナルド・トランプ氏は、「アメリカ・ファースト」を掲げる米大統領となり、タリフマンとして世界の投資資金の流れを左右した。投資家は政治的な人災やリセッション(景気後退)、期待外れの投資利回りを恐れながらもなんとか回避し、近年で最高の投資利益で10年という時代を閉じた。

債券:リセッションの幽霊

  数十年来の低利回り、さらにはマイナス利回りについて、「グレート・リセッションの幽霊がいまだに資本市場を闊歩(かっぽ)しているかのような利回りだ」と表現するのは、かつてリーマン・ブラザーズ・ホールディングスで債券戦略世界責任者を務めたジャック・マルベイ氏。「債券にはリターンの余地がほとんどない状況でこの先10年を考えるとき、いつ容赦ない反転が来るのかというのが最大の問題だ」と述べた。

Global debt yields stuck at painfully low levels
債券市場の10年
  • 利回りは数十年ぶりの低水準に沈下
  • イージーマネーの誕生
  • ポートフォリオには記録的な金利リスク

為替:ドル王は安泰

  ソブリン危機に始まり、ドラギ欧州中央銀行(ECB)前総裁の「何でもやる」発言をしてもなお不安が拭えないユーロ圏。これに対してドルは準備通貨としての地位をさらに強固にした。

  トロント・ドミニオン銀行の通貨戦略欧州責任者、ネッド・ランペルティン氏は「炎と氷の10年と呼んでもよさそうだ」と語る。「危機から危機へと移るばかりの10年だったが、その合間には長い閑散期がみられた」と指摘した。

A gauge of price swings across global currency markets paints a bleak picture
為替市場の10年
  • ドル王、玉座は安泰
  • 日々のボラティリティーは消滅寸前
  • ウォール街のポスト、自動化のリスク

株式:走り続ける猛牛

  2015年の人民元切り下げや、2018年のリスク急上昇で強気派はひやりとさせられたが、この10年間リセッション知らずの米経済で、株式市場は記録破りの展開が続いた。

  「ニュースの流れに過剰反応する人もいるが、それでは明らかに極めて強い成長サイクルだったこの10年を見失いかねない」とゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントで株式運用に携わるルーク・バーズ氏は述べた。

株式市場の10年
  • 弱気派は失意、歴史的な上昇相場
  • 自社株買いなどで市場自体は縮小
  • 欧州市場から資本流出

クレジット:レバレッジという怪物

  UBSアセット・マネジメントで運用に携わるジョナサン・グレゴリー氏は、「銘柄はどれでも構わない。持ってさえいれば価値が上がった。中央銀行が買ってくれるから」と振り返る。「そういう買い手がいるのだから、適正価格など誰も気にしていない」と続けた。

Size of triple-B corporate market has exploded over a decade
クレジット市場の10年
  • 極めて安い借り入れコスト、借り手の状況無関係
  • 量的緩和で消えた適正価格
  • 次のリセッション、ミスは許されない

原油:シェールの時代

  JPモルガン・チェースの石油市場調査を率いるアビシェク・デシュパンデ氏は、「米国は誰も予想しなかったやり方で、石油産業に異変を起こした」と述べた。

U.S. oil production growth has outpaced the rest of global supply
原油市場の10年
  • 1バレル100ドルの時代は終わり
  • シェールがすべてを変えた
  • かつての石油大手、今はエネルギー大手

原題:The ‘Fire and Ice’ Decade That Changed Everything on Wall Street(抜粋)

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