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野村の永井CEO:大規模コスト削減は今後も必至、タオル絞りきれず

  • 22年3月期までに1400億円のコスト削減、7年超の在任中に3度実施
  • 中国では資産承継や相続のノウハウ生かして富裕層事業を展開へ

「コストカットは永遠に続く」。7年超の在任中に3度の大規模なコスト削減に踏み切った野村ホールディングスの永井浩二グループCEO(最高経営責任者)。現在取り組んでいるリストラ策を完了したとしても、コスト削減の試練には今後も見舞われると自戒を込める。

  永井CEOはリストラ策について、実行すればコストは一時的に大きく下がるとしながらも、「気づくと余分なところでコストが上がっている。皆よかれと思って少しずつ無駄なことをするからだ」と指摘。そのため、「何年かに1回か、恐らくやらざるを得ない」との認識を示した。ブルームバーグとのインタビューで語った。

  同社は2022年3月期までの3年間で全社で1400億円規模のコスト削減を実施中。ホールセール部門の収益力低下などによる純損失転落を受けて今年4月にリストラ策を発表した。11月時点で6割強まで進捗(しんちょく)しているという。

  永井CEOは、自身が主導した3度のリストラ策の成果についての評価は控えたが、「正直言ってまだ絞れるぬれタオル。でも、少しでもよくなると皆やりたがらない」と危機感を示した。来年4月からはグループCEOのバトンを奥田健太郎副社長に託す。

Nomura Holdings News Conference As CEO Unexpectedly Steps Down

CEO交代を発表した2日の会見での永井氏(右)

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  野村HDは経営破たんした米リーマン・ブラザーズのアジアと欧州部門を08年に買収後、大規模なリストラを繰り返してきた。11年に2度、計10億ドルのコスト削減を発表。永井CEOが就任後の12年にも、さらに10億ドルの追加削減を決めた。16年には15年3月期に64億ドルだったコストの2割削減を掲げて完了している。

  リテール分野では永井CEOが度々訴えてきたデジタル技術の進展など社会・経済を抜本的に変える潮流(メガトレンド)への対応として、異業種であるLINE(ライン)と提携。今年8月に共同出資のLINE証券が営業を開始した。

  永井CEOはこうした「非対面営業は必要だ」とし、同社が持つ約350万口座という巨大なオンライン基盤を「全く生かしていない」と指摘。「社内に知見やセンスが全くないから、もう外部の人にやってもらうしかない」と説明した。現在、社内横断組織の未来共創カンパニーに外部人材を含め約80人を集めているといい「知見を早く社内に根付かせないといけない」と述べた。

中国では富裕層足掛かりに法人攻略

  一方、海外戦略の柱の一つと期待する中国市場では11月、過半出資の合弁証券会社が当局から営業免許を取得。まずは20年中に200人程度の体制とし、現地の富裕層向け事業を始める。同じく参入が認められた米銀JPモルガン・チェースやスイスのUBSグループは投資銀行業務を先行させる計画だ。

  永井CEOは、地場証券が強い中国では法人担当が表玄関から企業を攻略するより「企業オーナーと仲良くなれる富裕層向け事業から始めた方が早い」と戦略に自信を示した。すでに100人程度の陣容となっており、現地のプライベート・バンカーも採用。既存顧客の取り込みを図る。

  取り扱う商品に関しては「決まったものはない」としつつも、例えば少子高齢化が進む日本の証券会社として培った資産承継や相続のノウハウが差別化要因になるとの考えを示した。一人っ子政策を36年間続けた中国は急速な高齢化が避けられず、ブルームバーグ・インテリジェンスによると30年には5人に1人が60歳以上となる見込みだ。

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