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金委員長の核プログラム、米国本土攻撃は可能か-QuickTake

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  • 小型の弾頭を装着して十分な距離を飛行させられる公算大
  • ミサイル迎撃システムへの対応や目標到達能力は不明

米朝首脳による前例のない一連の会談後、両国間の非核化協議は滞っている。この間、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は核兵器の増強に努め、アジアの韓国軍や自衛隊、米軍のみならず、米国本土への攻撃を可能とするために能力の向上を推し進めてきた。

1.米国本土攻撃は実際に可能か

  金委員長は米国本土攻撃が可能な技術水準へと急速に近づいているようだ。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を2017年に成功させており、小型の弾頭を装着して十分な距離を飛行させられる可能性は高い。また探知されないよう迅速な移動が可能な兵器も開発した。

  現時点で明確でないのは、北朝鮮の弾道ミサイルが迎撃システムをくぐり抜けて大気圏再突入が可能かどうか、また目標物に到達させるだけの十分に精密な技術力があるかどうかだ。

DPRK-SAMJIYON-CONSTRUCTION-KIM JONG UN

三池淵市の式典に参加した金正恩委員長(12月2日)

Bloomberg

2. 核爆弾の威力はどうか

  北朝鮮によるこれまでの6回の核実験のうち、金委員長の体制下で行われたのは4回だ。06年の最初の実験では、爆発規模はTNT火薬に換算して1キロトン未満と推定され、専門家は部分的な失敗があったのではないかと推測した。

  直近の17年9月の実験では爆発規模は推定120-250キロトンと、広島・長崎に投下された原子爆弾の15-20キロトンを大きく上回った。専門家は北朝鮮の核弾頭保有数を20-30とみており、現在、核兵器を保有している9カ国の中では最も少ない。

3. 北朝鮮の移動可能なミサイルとは

  金委員長は新型の固体燃料型弾道ミサイルを既に開発している。固体燃料型ミサイルは多くの液体燃料型ミサイルより移動や発射が容易で、探知もかいくぐりやすい。5月以降、在韓米軍を含め、韓国全土を2分以内に攻撃できる核弾頭搭載可能な極超音速のKN23ミサイルなどを20回以上発射してきた。

  また1つの発射台から連射することで迎撃ミサイルを無効化する短距離ミサイルKN25の試射も行った。さらに射程が推定1900キロメートルの北極星3は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)とされている。兵器専門家らは、北朝鮮が固定燃料推進技術を応用したICBMも開発中とみている。同ICBMが完成すれば、より探知されにくい形での米国本土への攻撃が可能になり得るという。

4. 北朝鮮の核物質保有量は

  北朝鮮は数十年前から核分裂性物質を自給している。同国のプルトニウム生産量ではかつては1年に1個の核爆弾しか作れなかったが、現在で主としてウラン濃縮に頼っており、兵器専門家によれば年6個程度の核爆弾製造が可能だ。トランプ政権は北朝鮮が非核化協議開始後、プルトニウムの備蓄を増やしていると指摘。専門家は、同国には現在、核兵器約30-60個分のプルトニウムがあると推定する。

YONGBYON NUCLEAR FACILITY, NORTH KOREA - SEPTEMBER 29, 2019:  Figure 4A. Renovation and construction activities observed at the Main Research and Administrative Headquarters Area.

寧辺原子力施設、2019年9月

5. 北朝鮮の他の取り組みは

  兵器調査サイト「Datayo」の分析によると、北朝鮮は複数の弾頭を搭載し、飛行中に迎撃ミサイルをかわすことができるシステムを備えたICBMを開発している可能性がある。金委員長は新型潜水艦の開発を後押ししており、専門家がミサイル発射可能とみる潜水艦の配備を近々目指しているもようだ。

  また衛星プログラムの復活に取り組む可能性もある。兵器専門家は、衛星の打ち上げはミサイル技術に応用される恐れがあると指摘する。

Japan Defense Paper

北朝鮮でのミサイル発射実験

Bloomberg

原題:How Kim Jong Un Keeps Advancing His Nuclear Program: QuickTake(抜粋)

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