コンテンツにスキップする

東京証券取引所の市場改革の経緯とインパクト-QuickTake

Inside the Tokyo Stock Exchange As Banks Continue Rally Following Yields Spike
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Inside the Tokyo Stock Exchange As Banks Continue Rally Following Yields Spike
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

東京証券取引所の市場区分の再編や東証株価指数(TOPIX)の見直しが本格化する。日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は、金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)が提示する市場改革案を受けた後、具体的な制度設計に取り組む考えだ。来年の6、7月までには一定の形を作りたい意向を示しているが、市場では改革が上場企業や投資家に与える影響を懸念する声もある。

1.現在の市場区分は?

現在、東証は市場1部、市場2部、マザーズ、ジャスダックに、プロ投資家向け市場であるTOKYO PRO Marketを加えた5つの市場で成り立っている。1部、2部は国内外を代表する大企業や中堅企業が上場する日本の中心的市場であり、「本則」市場と呼ばれている。マザーズは将来的に1部への市場変更を目指す成長企業向けで、ジャスダックとともに新興市場との位置づけだ。

2.改革の中身は?

金融審議会の市場構造専門グループは、現在の市場区分は基準があいまいと指摘し、現市場をプライム、スタンダード、グロースの3つに区分することを提案した。このうちプライムは、主に現在の1部上場企業で構成し、時価総額や流動性、ガバナンス(企業統治)で高い基準を求めている。現在、1部に直接上場する際の時価総額は250億円以上が基準だ。

3.TOPIXの見直しは?

1部の全銘柄を対象とするTOPIXの見直しで、金融審は活発な取り引きがある銘柄ならプライムだけでなくスタンダードからも組み込めるとの考えを示した。清田CEOは、TOPIXについて「新陳代謝が起きず、運用者から見れば積極的に投資すべきでない銘柄が含まれている」と11月の会見で問題点を指摘。今後については、投資の継続性に配慮し市場区分と併せて慎重な論議が必要と述べた。

4.市場改革の経緯は?

東証と大阪証券取引所の統合から5年が経過した18年に市場改革の検討が東証内でスタートした。新興市場のマザーズとジャスダックの重複や1部市場のあり方などをテーマに、同年10月に外部有識者らで懇談会を設置した。今年3月に公表した論点整理では、一般投資者も投資対象にできる実績のある企業のA市場、高い成長性を有する企業のB市場、国際的な機関投資家などを対象とするC市場の3区分があるべき姿と提示。これをたたき台に金融審議会が5月から検討を始めた。

5.投資家にとってのデメリットは?

時価総額を基準に市場区分を設定することに懸念を示す投資家もいる。米アクティビストファンドのRMBキャピタルは、これに反対する意見書を同取引所に提出している。RMBは市場の質の改善という観点から上場企業のガバナンスに重点を置いた区分けが望ましいと指摘。新たな上場基準として、指名報酬委員会の設置と取締役会の過半数を社外役員とすることを義務化するよう提案している。

6.個別企業への影響は?

東証1部の上場企業にとって、ステータスを失うという恐れがある。「東証1部上場」は、株式だけでなく債券市場でも一定の信用力があるとみられるブランドだ。市場構造改革によって現在1部に上場している企業が新区分のスタンダードに区分けされた場合、マーケットから降格のようにとらえられてしまう可能性が危惧されている。

7.成長企業へのインパクトは?

マザーズとジャスダックに上場している企業は新区分ではグロースに組み入れられる見通し。大和総研の神尾篤史主任研究員は、「新興企業の上場基準が変更にならなければインパクトは最小限に抑えられるだろう」と話した。金融審議会では特に個人投資家の関心を集めやすい新興市場に機関投資家を呼び寄せるための改革を議論している。

備考

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE