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ソフトバンクに1500円の壁、親会社呪縛も-専門家が見た上場1年

更新日時
  • 個人保有比率は9月時点で18%と3月から低下、株価低調で傷癒えず
  • 来年は外的要因薄れ公募価格超える可能性、買収効果も-アナリスト

国内通信大手の一角、ソフトバンク株の上場から1年が経過した。競合を上回る収益力と高い配当利回りを投資家に提供しながら、公募価格1500円の壁を抜け切れない。アナリストによると、上値を拒む要因は複数あり、親会社ソフトバンクグループの投資事業のつまずきも暗い影を落とす。

  ソフトバンクは2018年12月19日に東京証券取引所1部へ上場し、日本の個人投資家中心に行われた新規株式公開(IPO)の規模は2.4兆円と国内最大だった。初値は公募価格を下回り、初日は15%安と急落。4月に1200円台まで下げた後は反発し、8月に初めて1500円を上回ったが、再び下降局面に入っている。

  同じ日に東証マザーズへ上場し、機械の「目」に当たる人工知覚技術を開発するKudanの株価がこの1年で2.2倍になったのとは対照的だ。

ソフトバンク上場以降の「親子」の株価推移

  SBI証券の森行真司アナリストは、「ビジネスは順調」な半面、「今は逆風」だと分析。公募価格を下回る背景には複数の外的要因があるとみており、その一つとして上場後のパフォーマンスが悪く、「個人投資家の傷が癒えていない」と指摘した。ソフトバンクの20年3月期営業利益計画と予想配当利回りは競合のNTTドコモKDDIより良いが、株価の年初来上昇率は低い。

  森行氏は、楽天による携帯事業への新規参入の進捗(しんちょく)が読めず、機関投資家が積極的に動きにくい点も上値の抑制要因に挙げた。さらに、投資事業への不安が広がる親会社株の下げが顕著となる中、同社が資金調達のため、ソフトバンク株を再び売り出すことへの警戒もあると言う。

  ソフトバンクの個人の株式保有比率は9月末時点で18%と、3月末の22%から低下。この間、海外投資家と金融機関の比率は上昇している。

ソフトバンクNTTドコモKDDI
今期営業利益計画(前期比)24%▲18%0.6%
予想配当利回り(18日時点)5.9%3.9%3.4%
年初来上昇率(同)6.2%23%23%

  ソフトバンクGのビジョン・ファンドが投資するスタートアップで、シェアオフィス事業を手掛ける米ウィーワークは企業統治の在り方や企業価値に対する厳しい見方が強まり、上場中止に追い込まれた。ソフトバンクGは同社への約1兆円の支援を決め、7-9月期決算ではファンド事業で約1兆円の赤字を計上した。ソフトバンクG株は7月の高値から2割以上下げている。

  一方、森行氏は来年は一連の外的要因の影響が薄れるほか、買収効果も出始め、公募価格を「回復し得る」と予想している。ソフトバンクは非通信事業の拡大のため、この1年で多くの合併・買収(M&A)を行った。ブルームバーグの集計によれば、ヤフーを傘下に置くZホールディングスの子会社化など11件、1.9兆円相当を手掛けた。

  ブルームバーグのデータでは、アナリスト16人のうち半数以上が投資判断を強気とし、目標株価の平均は1626円。SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは来期も増配を期待する強気派の1人だが、契約純増の維持や楽天対策で低価格のワイモバイルなどマルチブランド戦略は継続する必要があり、ZHDやビジョン・ファンド出資先との協業など「新たな増益要因が必要」ともみている。

SoftBank Corp. Trading Debut

上場イベントで鐘を鳴らしたソフトバンクの宮内社長

  1年前のきょう、ソフトバンクに続き上場のオープニングベルを鳴らしたKudan。井上瑞樹社長は電話取材で、敢えて同日上場を選んだと明かし、当初は投資家の資金がソフトバンクに流れ、自社の株価は下がると言われたが、「自信はあった」と振り返った。ソフトバンクには人工知能(AI)の「脳」はあっても「目」はなく、Kudanはその技術を持っているという。

(同日上場の人工知覚企業、Kudan社長のコメントなどを追記します)
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