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ジョンソン英首相、次の仕事はEU離脱-通商交渉の期限も迫る

更新日時
  • まず離脱協定案の議会承認、その後11カ月で通商協議完了目指す
  • 移行期間延長なら7月までに決定する必要、保守党は公約で延長排除

総選挙で大勝したジョンソン英首相は、懸案の欧州連合(EU)離脱を成し遂げることが可能になった。次の仕事は、離脱の現実的な意味を定義することだ。

  保守党の議席が過半数を大きく上回る見通しとなったことで、来年1月末のEU離脱が実現可能になったばかりか、EUとの将来の関係にも首相自身の考えを反映させることができるはずだ。

BRITAIN-VOTE-BREXIT

ジョンソン英首相(13日)

  ジョンソン首相は選挙戦中に、EU離脱を実現させたいとの公約を繰り返したが、離脱後に実際に何が起こるかを具体的に述べることはなかった。首相は離脱後まず、2020年末までにEUと貿易協定を結ぶ必要がある。EU単一市場へのアクセスを望むなら、税制や労働、環境などで一部のコントロールを手放さなければならない。

  問題となるのは、10年後に英国がどんな国になるかだ。他のEU諸国と似た国になるのか、シンガポールのように税率が低く規制の緩やかな国になるのか。首相としてのジョンソン氏はこれらの結果によって評価されるだろう。

  ジョンソン氏には、以下のような展開が待ち受ける。

離脱協定案の議会通過-2020年1月

  ジョンソン首相はEU離脱を正式に法律で定める離脱協定案を、17日に再開される英議会で速やかに可決したい意向であろう。その前に、女王が読み上げる施政方針をまとめる必要がある。このため離脱協定案の審議は来年にならざるを得ないかもしれない。

  保守党候補者は全員、首相の離脱案を支持すると誓約しているため、下院採決で障害が生じる公算は小さい。上院も選挙公約に盛り込まれた政策の阻止を控えるだろう。1月末までに法律が成立すれば、EU離脱後の移行期に入り、その間はほぼ全てのEU規則が引き続き適用される。法律が成立しない場合は、合意なき離脱に陥る。

EUと新たな通商協定を交渉-2020年春~夏

  離脱を果たせば、ジョンソン氏の焦点はEUとの新たな通商関係へと移る。通常は数年かかる包括的な通商協定を、わずか11カ月で目指すため時間的には極めて厳しい。  

Testing Britain’s Patience

Previous trade deals have taken years to conclude

Source: Bloomberg

Note: EU-Mercosur is still only a draft accord requiring formal approval

  ジョンソン氏はまず、交渉目標について議会の承認を得なければならない。この段階で、EU基準の束縛を嫌う党内強硬派から突き上げが来ると予想される。承認を得れば、交渉チームを設置する。EU側にも交渉を開始するための承認プロセスがあり、その間も11カ月の時間は過ぎていく。

  ジョンソン氏はこれまで、EU規則からの解放と欧州単一市場へのアクセスの両方を望む考えを示しているが、この矛盾を解決する必要がある。EUは関税や数量制限を設けない方針を示唆しているが、シンガポールのような規制の緩い国に英国がならないことを条件としている。

移行期の延長について決定-2020年7月

  英国とEUの双方が交渉時間をさらに必要とする場合、7月1日までに移行期間の延長を決定しなくてはならない。延長期間は最長2年だ。

  2020年末までに包括的な貿易協定を完了できる公算は極めて小さいと、通商問題の専門家はみているものの、保守党は選挙公約で移行期間の延長を排除している。このため、英国が合意なき離脱に向かうリスクは残るが、圧倒的な過半数を得たジョンソン氏が延長を決めることは可能だろう。

通商協議が継続-2020年秋~冬

  移行期間が延長されない場合、英国とEUは半年間の集中協議で協定をまとめなくてはならない。英国のアイバン・ロジャーズ元駐EU大使は11月の講演で、この期間に考えられるリスクとして、ジョンソン氏が合意なき離脱を避けるため漁業や食品基準などの分野でEUの要求に譲歩するよう圧力を受けることを指摘した。

  双方が合意した協定案は、英議会およびEU27カ国の各国議会、欧州議会がそれぞれ批准する必要がある。

新たな英EU関係の幕開け?-2021年1月

  2021年1月1日が、英国とEUが新たな関係に踏み出す日となるはずだ。双方が合意した協定、あるいは世界貿易機関(WTO)のルールに準拠した関係となり、後者なら合意なき離脱となる。

原題:
Johnson’s Victory Gives Him a Free Hand to Get Brexit Done (1)(抜粋)

(第5段落以降に情報を加えて更新します)
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