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タカタ製エアバッグ、別種で新たな大規模リコールも-米当局判断へ

  • リコールなら自動車メーカー側に1兆円規模の追加負担の可能性
  • 乾燥剤入りインフレーター、旧タカタ側などが年末までに調査報告

エアバッグの大量リコールで経営破綻した旧タカタの乾燥剤入りインフレーター(膨張装置)を巡り、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は年末までに安全性に関する調査結果を受け取る。当局の判断次第ではこれまでに実施された分と同規模の新たな巨大リコールにつながる可能性もある。

Takata Corp. Factories As The Selection of A Bidder Is Delayed

滋賀県の旧タカタ工場にあった同社のロゴ

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  世界10社以上の自動車メーカーがリコールした車に搭載されたタカタ製エアバッグは1億個を超え、交換費用は1兆円規模に膨らんだが、それは乾燥剤がないタイプだった。乾燥剤入りも同規模が出回っているとみられるがリコール対象となっておらず安全性の検証が進められていた。

  乾燥剤入りのインフレーターの安全性は相対的に高いが、タカタ製エアバッグ問題では当初、型式や地域を限定してリコールを実施していた中で死傷事故が徐々に拡大し、乾燥剤がない全ての製品の回収に追い込まれた経緯があり、当局は慎重な判断を迫られている。

  自動車安全部品に関する調査を手がけるバリエント・マーケット・リサーチのスコット・アップハム社長はNHTSAの判断次第でこれまでの全てのリコールに相当する規模の数のインフレーターが交換対象になるかもしれないと話す。

  アップハム氏によると交換費用も1兆円規模に膨らむ可能性があるが、タカタが経営破綻したため今回は自動車メーカー側が費用を100%負担する必要が出てくるとし、「各社の利益に対しても同様に大きな打撃となる可能性がある」と述べた。

  NHTSAが2015年11月に発表した同意指令を受け、タカタは同社のみが使用していた硝酸アンモニウムインフレーターの生産・販売を段階的に停止。一方、同社は湿気の流入による劣化防止のため08年からインフレーターに乾燥剤を入れ始め、それ以降の製品不具合は確認されておらず安全としてリコール交換用を含めて使用し続けた。

  同意指令では、走行中の異常破裂の原因を突き止められなかったり、乾燥剤入りについてタカタが19年12月31日までに安全性や製品寿命を示せなければ、当局がタカタに対して問題のインフレーターに関してリコールにつながる行動を取るよう「最終命令」を出す可能性があると取り決めていた。  

次のステップ

  NHTSAは「適切な次のステップを取るために乾燥剤入りのインフレーターの安全性に関する情報を注意深く調査している」とコメントした。旧タカタの債務を引き継いだTKJPの野村洋一郎氏は、調査は別の組織が取り組んでいて詳細を承知していないためコメントを控えるとした。調査を手がける米TKサービスの担当者にコメントを求めたがとしたが回答は得られなかった。

  タカタ製エアバッグを巡っては同社のみが採用していた硝酸アンモニウムを使ったインフレーターが異常破裂する不具合が多発し、世界で20人以上の死者と200人以上の負傷者が出た。NHTSAは今月4日、1990年代に生産された硝酸アンモニウムを使わないインフレーターを使ったエアバッグ搭載車でも死傷事故があり、140万台をリコールしたと発表している。

  自動車各車は新車需要が世界的に低迷する中で自動運転など新技術への対応で投資がかさみ、厳しい経営環境に置かれている。SBI証券の遠藤功治アナリストは、当局は企業の業績を配慮するようなことはなく、「リスクがあるならそれを排除するためにリコールを求めることは十分考えられる」と話した。

  タカタは17年6月、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、タカタが地裁に提出した確定債権の総額は1兆823億8427万6418円だった。タカタは中国系の米自動車部品メーカーに事業譲渡し、「ジョイソン・セイフティ・システムズ」に社名を変更して事業を継続している。

  事業譲渡に際して硝酸アンモニウムインフレーターの問題に関して責任を負わないことを条件としており、新たに発生するリコールに関しては自動車メーカーが全額負担する可能性が高い。

乾燥剤入りでも負傷者

  自動車メーカー連合が委託する調査機関は10月、NHTSAに最終報告を提出。乾燥剤入りインフレーターの防護効果は大きく、最も厳しい車両状態や温度下を除けば30年間は劣化することなく使用できることが判明したと指摘。安全への差し迫ったリスクはないとしながら、特定のインフレーターに関して厳しい環境下にさらされた際の安全性について監視プログラムの導入を提案している。  

  一方、ホンダは今年3月、米国でミニバン「オデッセイ」のタカタ製エアバッグの異常破裂で運転手が負傷した事故を受けて100万台余りをリコール。大規模リコールの一環で15年に交換した一連のエアバッグ部品で再び不具合が見つかったものだ。

  広報担当の建部輝彦氏は、ホンダでは、タカタが製造した乾燥剤が保管中や組み立て時に吸湿し、高い保水率でインフレータに組み付けられたことが原因と想定していると述べた。

  乾燥剤入りインフレーターについてホンダは、予見される安全性や製品寿命の確定に向けて今後もNHTSAと協力して入手可能なあらゆるデータの分析に取り組むとした。

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