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銀行界に波及する香港の分裂-政治的意見の違いで職場に亀裂

  • 変化が最も強く感じられるのは中国国有の金融機関-外銀も免れず
  • 銀行はブランドイメージ損ねず行員をまとめる手腕が必要になる

中国政府系の銀行に勤めていたエコノミストは香港の抗議活動に関する自らの見解を示したところ、同行での職を失ったと言う。投資銀行バンカーの間にはキャリアに傷が付くことを恐れ、同僚と香港の混乱について話すことを避ける様子も見られる。

  民主化デモが長期化する香港では、以前は仕事にはほとんど影響しなかった個人の政治的見解が金融機関で働く上で重要な意味を持ち始めている。政府支持・不支持の意見対立が鮮明になる中で、世界有数の金融ハブとしての香港の地位に対する懸念も広がる。

  こうした変化が最も強く感じられるのは、中国国有の金融機関だ。交通銀行(香港)のチーフエコノミストだった羅家聡氏は3日、同行を辞めさせられた背景には、自身が8月に示した調査報告が中国政府の香港を巡る見解に反していたことがあると感じると明らかにした。交通銀にコメントを求めたが、返答はなかった。

Minister Warns of ‘Unthinkable’ Consequences As Protests Rage

壊された交通銀行支店前を歩く男性

写真家:ローレル・チョー/ブルームバーグ

  国際的な銀行も影響は免れない。BNPパリバでは9月に法務担当の幹部が辞めた。ソーシャルメディアに上げた個人的意見が問題視され、同行が謝罪する事態になったためだ。ただこの幹部が同行を去ったことについて、BNPパリバは当時コメントしなかった。

  シティグループの香港オフィスでは、親中派行員の一部がデモ活動を支援する同僚との交流を減らしているという。事情に詳しい複数の行員によれば、同行に勤務するインベストメントバンカーの1人が警察とのもみ合い後に拘束された様子を映した動画がソーシャルメディア上で広がった後、こうした行員間の亀裂が一段と深まった。

  中国本土出身のJPモルガン・チェース行員が昼休み中に大勢の抗議参加者を前に「われわれはみな中国人だ」と叫んだ後、暴力を振るわれた様子を撮影した動画も拡散した。事情を知る1人の関係者によると、この行員の行動に対して別の何人かの同行行員が上司に口頭で苦情を申し立てたという。抗議活動開始後、本土出身者と香港生まれの行員の間の会話が少なくなったと2人の関係者は語る。

  

Demonstrators March in Hong Kong's Kowloon As Protest Leaders Ignore Police Ban

抗議活動中に壊された東亜銀行の支店-「ごめん」と落書きされた

写真家:ジャスティン・チン/ブルームバーグ

  銀行各行にはブランドダメージを招き得る論争に巻き込まれずに、意見の異なる行員をまとめていく手腕が求められていると香港で金融サービスのコンサルティング業務を手掛けるクインラン・アンド・アソシエーツのベンジャミン・クインラン最高経営責任者(CEO)は指摘する。

  元ドイツ銀行幹部の同CEOは「自由でオープンな考え方のバランスを注意深く取り、行員のプロフェッショナリズムを確保しながら、会社側はこれまでよりずっと賢く対処する必要がある」と話す。 

Hong Kong Protesters Rally for 22nd Weekend

ハンセン銀行(恒生銀行)本店前で催涙ガスが使われた

写真家:ジャスティン・チン/ブルームバーグ

  シティの広報担当者はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、同行は「性別や人種のみならず、考え方の多様性も指すダイバーシティーとインクルージョン(包括性)に価値を置いている」と説明。「われわれはさまざまな見方や観点を持つ人々を尊重し、スタッフと顧客もそうした多様性を尊重している」と語った。

  JPモルガンの広報担当者は「あらゆる立場と非常に多岐にわたるバックグラウンド」から人材を採用しており、従業員は「互いにサポートし続けている」と述べた。

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原題:Hong Kong Bankers Say City’s Divide Is Infecting Office Life (1)(抜粋)

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