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日米貿易協定を国会が承認、来年1月1日発効の見通し

  • 専門家の評価分かれる、1月発効「トランプ氏選挙のため」の指摘も
  • より包括的な協定に向けた第2弾交渉へ、自動車関税撤廃など焦点

日米間の農産品や自動車を除く工業品の関税撤廃・削減などを柱とする新たな2国間貿易協定が4日、国会で承認された。衆院に続き参院も承認案を可決した。来年1月1日に発効する見通し。

  日米貿易協定では、日本が牛・豚肉など米農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)と同水準に引き下げる一方、日本が求めていた自動車・同部品に対する米国の関税撤廃は継続協議となり、それ以外の工業品の関税の撤廃・削減にとどまった。

  国会審議では、焦点の一つとなった米通商拡大法232条に基づく日本車への追加関税や数量規制を巡り、野党側が米国から確約を得たことが確認できる首脳会談の議事録提出を求めた。これに対し、安倍晋三首相は「ただの口約束とかそういうことではない」と説明、交渉の間は追加関税は課さないことを「トランプ大統領と確認した」などと答弁していた。

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昨年9月の合意文書署名後、握手を交わす安倍首相とトランプ大統領

  9月の最終合意の際に公表された日米共同声明には協定発効後、4カ月以内に今後の交渉対象分野を絞り込んだ上で、貿易促進に向けた関税や他の貿易上の制約、サービス貿易、投資への障壁などを巡る交渉を開始する方針が盛り込まれている。

   承認案の審議では、参考人として意見を述べた専門家の評価が分かれた。中央学院大学の中川淳司教授は11月28日の参院外交防衛委員会で、「関税交渉で日本は互角以上の成果を上げた」とし、自動車と同部品の関税撤廃や追加関税回避の約束を「明確にさせた」と評価した。

  一方、東京大学大学院の鈴木宣弘教授は、ウィンウィンの協定とする政府の説明を疑問視し、自動車追加関税については「本当に約束されたのか、どこにも書いていない」と指摘。アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は、1月発効を目指すのは「トランプ大統領の選挙のため」であり、日本側に合理的根拠はないと語った。

第2段階へ

  日米間では、今後より包括的な協定締結に向けた交渉が行われることになっており、日本の農産物のさらなる市場開放や日本車の関税撤廃、為替条項など幅広い分野が議題になる見通し。

  トランプ米大統領は昨年9月の合意文書署名に際して、今回の貿易協定を「第1段階」と位置付けた上で、「米農家にとって重要なものだ」と評価。さらに「かなり近い将来最終的な包括協定にしたい」との期待を表明した。

  丸紅経済研究所の今村卓所長は、2020年の大統領選までの日程を考えると、選挙を意識した日本への要求が「トランプ氏のツイートなどで出てくる可能性はあるが、本格的に議論し、協定にすることは難しい」との見方を示す。ただ米中交渉が難航する中、対日交渉で「次善策として成果を取りにくる」可能性もあり、警戒が必要だとも語った。

  4日の参院本会議では、日米デジタル貿易協定の承認案も可決された。同協定では電子的な送信に対する関税を賦課しないといったデジタル分野でのハイレベルなルールを示している。両国は現在進行中の国際的なルール作りで主導的な役割を果たすことを目指す。

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