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美容部員は99歳、人生100年時代の人材活用-シニア向け販売に貢献

  • 90代のポーラ販売員は300人、顧客と同世代の老老マーケティング
  • 高齢者市場は世界の全ての化粧品メーカーにとって重要領域-識者
relates to 美容部員は99歳、人生100年時代の人材活用-シニア向け販売に貢献
Photographer: Kelsey McClellan for Bloomberg Businessweek
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99歳になる福原キクヱさんは、ポーラ・オルビスホールディングス傘下ポーラの現役美容部員として活躍している。総勢約4万5000人の同社の美容部員には90代が約300人おり、比較的単価が高いシニア向け製品の販売増の一助になっている。

  今年10月、福原さんは「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定。認定式会場では全身を白のスーツで包み、カルティエの時計を身に着け、指先には秋を思わせる色のマニキュアを施した福原さんを常連客らが祝った。

99-year-old Beauty Adviser Kikue Fukuhara

「最高齢ビューティーアドバイザー」の福原キクヱさん

Source: Pola Orbis Holdings

  常連客の沖田トシエさん(91歳)にとって福原さんは何でも相談できる姉のような存在だという。ポーラの横手喜一社長は、高齢者の顧客にとっては同世代の美容部員が接客する方が会話が弾み、相談しやすいと受け止められていると話した。

  ポーラは2017年1月、業界で初めてしわ改善効果をうたった美容液「リンクルショット」を1万6200円で発売。この商品投入は17年の売上高を約130億円押し上げた。当初の2年間は国内での対面販売のみに限定したが、今年9月までに累計211万本を売り上げる大ヒット商品となった。

  総務省の統計によると、50歳以上が女性人口のほぼ半分を占める。現在、全人口に占める65歳以上の割合は29%だが、20年後には35%まで増加すると予測されている。高齢化で健康状態や肌の状態が変化することから、化粧品メーカー各社は続々と新商品を打ち出している。

  化粧品国内首位の資生堂も15年、50歳以上の女性をターゲットにしたブランド「PRIOR(プリオール)」を立ち上げた。同ブランドは2桁に近い水準の売上高成長率を維持しているという。

  美容市場調査会社ビューティーストリームズのステファニー・ガブリエル副社長は、「高齢化は間違いなく世界の全ての化粧品メーカーにとって重要領域の一つになる」との見方を示した。

ポスト・インバウンド時代を見据え

  資生堂はプリオールブランド導入以前の12年、団塊の世代が60代に突入するのをきっかけに50代以上の女性6672人を対象に調査を実施。

  プリオールのブランドマネジャーの河合有起氏によると、この調査では日本人女性が50代半ばで肌の状態が大きく衰えると自覚する人が多いことが分かった。更年期を境に肌の状態や精神状態が変化するほか、子どもが大学進学などで親元を離れることで自身を見つめる時間が増えることが背景にあると分析している。

  調査会社富士経済によると、国内のアンチエイジング化粧品市場では、70代以上をターゲットにした商品の新製品が登場したことなどが寄与し、売上高が昨年に前年比約8%成長した。

  シニア世代が好む、複数の効能を一つの製品に凝縮したオールインワンタイプのスキンケア化粧品も同約10%の伸びとなった。3兆円規模の国内化粧品市場で、インバウンド需要の伸びが鈍化する中でも高齢者向けの商品戦略が奏功する傾向が現れている。

  河合氏は「高齢者が元気でいられる期間が長くなった」とし、高齢者の増加に伴って市場にも成長余地があるとの見解を示した。一方で「インバウンド需要はあまり考えていない」と話した。

  ジェフリーズ証券の宮迫光子アナリストは、シニア世代は加齢に伴い乾燥やしわの悩みが増えることから、化粧品に「使いたい金額も上がる」と指摘。メーカーがより高価な商品を展開できるチャンスがあるとみている。

シニア向けを打ち出さず

  コーセーで商品開発を手掛ける堀田昌宏執行役員によると、国内メーカーのように「シニア向け」をうたうブランドは世界でも珍しいという。9月に12万円のエイジングケア用クリームを発売した同社の「コスメデコルテ」ブランドは、明確にシニア向けと打ち出してはいないが、50ー60代に人気だと明かした。

  堀田氏は、ブランドに年齢層を特定すると若い顧客層に遠慮されるリスクがあると指摘する。目標の年齢層をあえて明らかにしないことで、コスメデコルテは「予防美容」として中国など海外では20代の顧客にも購入されているという。

  海外市場でもシニア向け化粧品の潜在力は大きい。約14億人の人口を抱える中国では30年までに60歳以上が全体の25%を占めると予想されている。英調査会社カンター・グループの調査でも、英国では55歳以上の女性が化粧品消費全体の44%を担っていることが明らかになっている。

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