迫る期限、米政権が対中関税発動なら何が起きるか-市場参加者の見方
Eric Lam、Gregor Stuart Hunter米中貿易合意を巡るトランプ大統領の直近の発言は過去最高値付近にある株式相場に冷や水を浴びせ、重要な期限が迫っていることを思い起こさせた。
トランプ氏は2日、ブラジルとアルゼンチンの鉄鋼とアルミニウムに対する関税を復活させ、フランスにはデジタル課税への報復関税を検討する意向を表明。さらに米中合意を急がない考えを示唆した。トランプ政権は15日までに合意できなければ中国からの輸入品1600億ドル(約17兆3700億円)相当に15%の関税を課す方針で、その期限が近づいている。
「15日に予定されている関税が発動されるなら、市場のコンセンサスには大きな衝撃になる」とマニュライフ・インベストメント・マネジメントのグローバルマクロ戦略担当マネジングディレクター、スー・トリン氏は語った。
15日に対中関税が発動された場合の市場の反応について、市場関係者の見解は以下の通り。
「先行きは暗い」
ディープブルー・グローバル・インベストメントの韓同利最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、対中関税発動なら「リスクオフ一色になるのは間違いない」と予想。「1-2カ月の短期では先行きは暗い」と述べた。

来年に期待
2019年も暮れに近づき、米中合意の見通しがますます遠のく中で、投資家はややリスクオフ姿勢を取るべき時期だろうと、スタンダード・チャータードのプライベートバンク部門チーフ投資ストラテジスト、スティーブ・ブライス氏はブルームバーグテレビジョンで述べた。
「最善のシナリオでも来年初めまでずれ込みそうだ」とし、投資家に対する助言としては「恐らく株式へのエクスポージャーをやや縮小するべきだろう。相場を後追いする段階では全くない。ただ、向こう数週間で5-7%下がる場合には、それを検討する」と語った。
ブライス氏は長期では引き続き楽観的な見方を保っている。「米中はある種の合意を結ぶ。これが不確実性を後退させ、世界経済を良い方向へと後押しする」とみる。
楽観は後退
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ケリー・クレイグ氏は、まだ署名されていない貿易合意の見通しを市場がすでに織り込んでいることが大きな懸念だと指摘する。
クレイグ氏はブルームバーグテレビジョンで「貿易合意を巡り、すでにかなりの楽観が醸成されている。今後数カ月にわたり相場を圧迫するだろう」と発言。「一方でこれらの不確実性の一部を実際に打ち消すような世界経済の改善をさらに目にする必要がある」と続けた。
安値を拾え
週初の株安を買いの好機と捉えた向きもすでにいる。
シンガポール銀行の投資戦略責任者、エリ・リー氏はブルームバーグテレビジョンで、南米と欧州に対する米政権の関税圧力は中国との貿易合意を前に、「タリフマン」としてのトランプ氏の印象を強める取り組みである公算が大きいと分析。
「経済は極めて微妙な状況にあり、関税が発動されればリセッション(景気後退)リスクは大きく跳ね上がる。2020年大統領選に差し掛かる中で、そういった状況に追いやることはホワイトハウスも望まないだろう」と語った。
「動きの激しい日」
当初の反応として、一部の市場は大きく揺れ動くかもしれないと、ペッパーストーン・グループの調査責任者、クリス・ウェストン氏は顧客向けリポートで指摘した。
同氏によると、S&P500種株価指数は2%前後下落し、人民元やオーストラリア・ドル、韓国ウォンなどの通貨が動く公算が大きい。ただ、そう遠くない時期に反騰局面が訪れそうで、特に2020年の交渉再開で合意した場合にはそうなるだろうという。
原題:
What Happens to Markets If Dec. 15 China Tariffs Kick In (2)(抜粋)