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日銀総裁、現時点で追加緩和考えてない-財政支援の国債購入否定

更新日時
  • 追加緩和余地は十分ある、物価目標の引き下げは考えていない
  • 日経平均1万9000円程度に下がれば、保有ETFの時価が簿価下回る

日本銀行の黒田東彦総裁は29日午後の衆院財務金融委員会での答弁で、現時点で追加の金融緩和を行う考えがないことを表明した。物価安定目標の実現という金融政策上の目的を越えて、財政支援のために国債を買うことはないとの見解も示した。

  黒田総裁は、当面の金融政策運営について「現時点でさらに何か追加緩和をやるということは考えていない。今の金融政策が適切と考えている」と明言。「現在の調節方針を維持する形で徐々に賃金・物価が上昇し、物価上昇率が2%に近づいていくことを狙っている」と語った。

  もっとも、世界経済の先行き不透明感が強い中で、「仮に世界経済の減速リスクがものすごく大きくなる」ことなどによって物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれれば、「金融政策として追加的な措置を考えていく必要があるし、それは十分可能だ」と指摘した。

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  現行マイナス0.1%の短期政策金利についても「一定の限界はあるが、十分に緩和余地がある」と述べ、追加緩和を検討する際には「効果と副作用を考慮し、適切な措置を講じる」考えを改めて示した。物価上昇率の目標である「2%」自体の引き下げは「考えてない」と表明し、物価目標の達成に向けて「必要な金融緩和措置を講じていきたい」と語った。

財政ファイナンスでない

  これまでの大規模な金融緩和の推進によって、日銀の国債保有残高が発行残高の50%程度にまで膨らんでいるが、総裁はあくまで物価安定目標の実現という「金融政策上の目的で国債を購入した結果」と説明。財政政策とのポリシーミックスを踏まえても、日銀による国債購入は「財政ファイナンスではない」とし、「金融政策の目的を越えて、財政を支えるために国債を買うことは考えていない」と繰り返した。

  黒田総裁の下で日銀は2013年4月の量的・質的金融緩和の導入とともに、それまで採用していた「銀行券ルール」を停止し、大規模な国債買い入れに踏み切った。銀行券ルール復活の可能性について総裁は、将来的な金融政策の正常化の過程では議論される可能性があるが、「現時点では必要・適切とは考えていない」と語った。

  また、前田栄治理事は、日銀が保有している指数連動型上場投資信託(ETF)について、株価が日経平均で1万9000円程度、TOPIXで1350程度を下回れば時価が簿価を下回ることを明らかにした。

  前田理事によると、19年9月末時点での日銀のETF保有は時価ベースで31.6兆円、含み益は4兆円程度、簿価は27.6兆円程度。13年3月末時点でのETF保有は簿価ベースで1.5兆円だった。

(黒田総裁の発言を追加し、見出しも差し替えて更新しました.)
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