10月小売業販売7.1%減、15年3月来の落ち込み-増税や悪天候影響
関根裕之
更新日時
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減少率は2015年3月(9.7%減)以来の大きさ-市場予想は3.8%減
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コンセンサス対比で下振れだが驚くほどでない-みずほ総研の嶋中氏
経済産業省が28日発表した10月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比7.1%減少した。前年割れは3カ月ぶりで、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動や台風など悪天候の影響が出た。減少率は市場予想を上回り、前年同月に消費増税前の駆け込みが発生した2015年3月(9.7%減)以来の大きさ。小売業の基調判断は前月の「増加している」から「一進一退」に引き下げた。
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エコノミストの見方
みずほ総合研究所の嶋中由理子 エコノミスト:
- コンセンサス対比で下振れだが、驚くほどではない
- 増税後の駆け込みの反動、台風の影響の2つが要因。前回増税対比で前月比の落ち込みが大きかったといっても台風の影響がある。割り引いて考えれば、前回のように消費低迷がずっと続くことは考えられない
- 軽減税率の効果が大きく明暗が分かれた。特にコンビニは軽減税率に加え、キャッシュレスポイント還元の効果もあった
- 10-12月期GDPの個人消費はマイナス1.9%と予想。台風要因が大きくマイナスに寄与するところもあり、11-12月はそれなりに持ち直すのではないか。台風や駆け込みの反動を除いた消費の基調は横ばい
詳細
- 小売り全般に、韓国人観光客の減少や台風の影響で訪日を見合わせた外国人がいたこと、またラグビーワールドカップによる訪日客は購買というよりイベントを楽しむ傾向が見られた-経産省担当者
- 消費増税後の反動減も10月の小売り減少の一要因-経産省
- 台風の影響で消費マインドが冷え込んだ部分もあると思われる-経産省
背景
- 9月の小売業販売額は前年同月比9.2%増と、消費税率が8%に引き上げられる1カ月前の14年3月(11%増)以来の高水準。10%への消費増税を10月に控え、家電や自動車など高額商品の売り上げが伸びた
- 10月の全国百貨店売上高は前年同月比17.5%減少。高額商品を中心とした消費増税前の駆け込み需要の反動に加え、台風など天候不順が響いた
(詳細を追加し、エコノミストコメント差し替えて更新しました。基調判断の変化は訂正済みです)
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