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IMFが緩和長期化の副作用言及、日銀は長期金利目標の年限短期化を

  • 金融政策は緩和スタンス維持を、物価目標レンジ化で政策に柔軟性
  • 大手行の資本上積みや、規制の適用拡大なども求める

国際通貨基金(IMF)は25日に公表した日本経済に関する審査(対日4条協議)に関する声明で、イールドカーブのフラット化による金融機関収益や年金・保険の資金運用への悪影響に言及し、低金利の長期化による金融システム面への副作用対策として、長期金利目標の対象としている国債の年限短期化などを提言した。

  声明では、日本経済の先行きについて「国内需要の緩やかな成長は外的環境の悪化によって損なわれつつあり、下振れリスクが増大してきている」と指摘。潜在成長率を高め、物価安定を実現するには「日銀の緩和的金融政策スタンスが維持されるべきだ」とする一方、「金融政策の持続可能性を高め、金融安定性リスク増大の緩和のために、金融政策と金融セクター政策のさらなる連携が図られるべきだ」としている。

  その上で、緩和長期化が金融機関の収益性に与える影響を抑制するため、イールドカーブコントロールでの利回り0%の目標値の設定対象を「10年物国債から満期のより短い国債に変更し、国債のイールドカーブをスティープ化する」ことを提言した。

  また、緩和的な金融環境の下で、金融面での脆弱(ぜいじゃく)性が高まってきていることを踏まえ、政府に対して、貸付損失が生じた場合に備え、大手銀行にその吸収のための資本上積みを求める仕組みであるカウンターシクリカル資本バッファーの引き上げや、国内基準行への適用などを求めている。

IMF声明における金融政策と金融セクター政策
  • 物価上昇率の低さに貢献している構造要因を踏まえ、物価目標に合致したインフレ水準の再評価の実施。日銀は物価目標達成が中長期的なものであることを強調しつつ、インフレ目標を幅で提示し、政策の柔軟性を高めることを検討し得る
  • 日銀は現在の「二つの柱」政策戦略を、インフレ予測ターゲティング(IFT)の採用によって強化することも検討できる
  • 日銀の政策ガイダンスは、1)日本国債買い入れの量的ガイダンスをやめること、2)マネタリーベースからオーバーシュート型コミットメントを切り離すことで簡略化され得る
  • 金融庁は強力なミクロプルーデンス監督・規制を通じ、銀行に対しリスク管理とリスク耐性の強化を促し続けるべきだ。手段としては、リスクプロファイルに照らした資本要件の個別設定、フォワードルッキングな形で貸倒引当金を積むことの奨励がある
  • 地方銀行が収入源の多様化、ITとフィンテックの活用改善、再編により、健全性を確保できるように金融庁は促し続けるべきだ
  • 金融庁は危機管理・破綻処理の枠組みを、例えば国内のシステム上重要な銀行(D-SIB)全行に総損失吸収力(TLAC)要件の適用範囲を拡大することで強化すべきだ
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