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カシュカリ総裁、所得格差是正で金融当局に一定の役割を認識

  • 低所得者への配慮、今年に入って3回の米利下げにも影響か
  • アビゲイル・ウォズニアック氏の研究がパラダイム・シフトに

ハト派として知られるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、 米金融当局が所得再分配で一定の役割を果たすことができると話す。

  2020年米大統領選の民主党候補指名を目指すバーニー・サンダース上院議員や、著名投資家ウォーレン・バフェット氏を含め、米国の格差拡大が問題であるとほぼ誰もが口にするが、再分配の役割はかつて公選の役職者の領域と考えられていた。

  カシュカリ総裁の主張は金融当局者としても異例であり、その見解は少数派にとどまる公算が大きい。だが、金融当局が今年に入ってコミュニケーションの内容を修正していく上で、同総裁の格差拡大を巡る問題検証への取り組みがその下準備をしたものと考えられる。ミネアポリス連銀内で17年に始まった研究は、総裁自身が想定していなかったほどのポテンシャルを秘める展開を見せた。

  このプロジェクトのリーダー役が、今年2月に同連銀の機会・包摂的成長研究所の初代ディレクターに就任したアビゲイル・ウォズニアック氏だ。米ノートルダム大学の准教授だった同氏は、オバマ前政権で大統領経済諮問委員会(CEA)シニアエコノミストを務め、当時からの研究が現在の米金融当局のパラダイム・シフトへの道を開いた。

  カシュカリ氏のそれまでの考えを変え、金融当局者の多くに驚きをもたらしたのは、従来の想定の下で失業率が完全雇用ないしそれに近いとされる水準にあっても、米経済で雇用創出が続く仕組みだ。これは、金融危機以降に職探しを諦め、失業者としてカウントされていなかった層が、労働市場に戻ってきているということだ。

  当時のCEA委員長で、現在はハーバード大学教授のジェーソン・ファーマン氏は、25-54歳の男性の多くが労働市場から脱落した理由を解明しようと、ウォズニアック氏が研究の最前線にあったと指摘。「男性が働きたがっていないといった供給面の説明が、問題の大きな源泉ではないと強調するのにわれわれは一役買った」と語る。

  この結果、問題なのは需要面の弱さということになり、金融当局が景気の十分な加速を容認すれば、トレンド反転の可能性があることを意味する。

Federal Reserve Bank of Minneapolis President Neel Kashkari Speaks At NABE Conference

カシュカリ総裁

写真家:アンドルー・ハラー/ブルームバーグ

  連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら当局者は、昨年の金融引き締めから今年3回の利下げに方針転換した理由として、米中貿易摩擦や世界的な景気鈍化に加え、低所得層への配慮という、新たな理由を挙げる。

  米金融当局者はここ最近の労働市場に関する理解に誤りがあったことを認めるとともに、地域への働き掛けを通じ、米国民の多くが過去最長の景気拡大の恩恵を感じていないことが分かったとしている。

  インフレ率が当局目標を下回って推移する中で、こうした見直しが政策金利を低めに維持する論拠を強めた形で、今後、景気拡大ペースが再び加速した場合でも、金融当局が条件反射的に利上げする可能性は小さくなるかもしれない。

Fed hiked as unemployment fell, backtracked when inflation didn't rise

Dropouts are are reentering the labor force, confounding expectations

原題:
Can the Fed Fight Inequality? Kashkari Says Yes, Hires an Ally(抜粋)

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