香港の富裕層、いざとなったらお金を逃がせるように準備-大手銀行
Bloomberg News
香港の富裕層は社会不安が悪化した場合に資金を脱出させられるように、オフショア口座を開設している。
これまでのところ、実際には資金はほとんど動いていないと、UBSグループとクレディ・スイス・グループ、スタンダードチャータードのトップが北京でのニューエコノミー・フォーラムに際してインタビューで語った。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は主要な顧客の間に行動の変化は見られないとした上で、早急に「状況が解決される必要がある」と述べた。
抗議活動の続く香港では観光業の落ち込みで小売業者やレストラン、ホテルが苦戦している。香港の域内総生産の約20%を担う金融業界が弱体化する懸念も高まっている。
スタンダードチャータードのビル・ウィンターズCEOは「顧客がシンガポール、マレーシア、台湾の順番で口座を開設している。しかし、口座は作っても、実際にはそれほど多くのお金は動かしていない。動きが増えてもいない」と語った。
UBSのセルジオ・エルモッティCEOによれば、UBSの顧客も「緊急計画を発動させている」
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ただ、「地政学的な分散投資は新しいことではない」と同CEOは付け加えた。
クレディ・スイスのティージャン・ティアムCEOによれば、人々は様子見の姿勢を取っている。大規模な資金流出も人の移動も見られていないという。人々が口座を開設し始めたの数カ月前だと、DBSグループ・ホールディングスのピユシュ・グプタCEOが述べた。
これまでのところ、香港が金融センターとしての優位を失うリスクを示唆する証拠はないと、ゴールドマンのソロモン氏は話す。「香港は常にアジア太平洋地域の非常に重要な金融センターだった。中国も世界もその重要性を認識していると思う」と語った。
ニューエコノミー・フォーラムは、ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグ・エル・ピーの1部門であるブルームバーグ・メディア・グループが開催している。
原題:
Bankers Say Hong Kong’s Rich Are Ensuring Their Cash Can Escape(抜粋)