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日韓GSOMIA、23日午前0時に失効迫る-直前まで接触の可能性

  • 日本が輸出管理厳格化を撤回なら再考-文在寅大統領
  • 韓国に「賢明な対応」を求める立場に変わりはない-菅官房長官

日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、韓国側が22日中に破棄を撤回しない場合、23日午前0時に失効する。22日からは愛知県で20カ国・地域(G20)外相会合が開催され、日韓外交当局が失効直前まで接触を試みる可能性はあるが、事態打開の見通しは立っていない。

  菅義偉官房長官は同日の閣議後会見で「現時点で韓国政府の判断について予断を持ってコメントすることは差し控えたい」と述べ、韓国側に「賢明な対応」を求める立場に変わりはないと語った。韓国は21日に外交努力を検証するため国家安全保障会議(NSC)を開催。大統領府は関係国と協議を続けるとしている。

Key World Leaders Attend The G-20 Summit

安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領

Photographer: Kim Kyung-Hoon/Pool

  日韓GSOMIAは、両政府が2016年に署名し、北朝鮮のミサイル発射の際には同協定の下で情報交換や分析結果を共有してきた。日本は韓国の破棄通告は、厳しい安全保障環境を見誤った措置だと批判してきた。日韓と同盟関係にある米国のトランプ政権は3カ国の連携維持向けて、同協定延長を強く働き掛けてきた。

  韓国の文在寅大統領は19日、失効をできれば回避したいと表明したが、破棄決定の理由を作ったのは日本側として、日本が輸出管理厳格化の措置を撤回しない限り、破棄を見直さないとの立場を維持している。

  静岡県立大の奥薗秀樹准教授は、「両国とも譲歩できない状況がそろっている」と見る。安倍晋三政権の対韓強硬姿勢は一定の支持を得ており、「桜を見る会」を巡り批判を受ける中では、韓国に対し弱腰の対応はしにくいと指摘。文政権も来年4月に総選挙を控え、一度決めた対応を日本の態度に変化がない中で撤回するのは難しいとした。

  日本政府は、緊急事態への対処に必要な情報は米国との協力によって万全の体勢を取っているとして、GSOMIA破棄でも影響は限定的との認識を示す。菅義偉官房長官は18日の会見で、韓国とは「補完的な情報収集」だとした。

  ただ米国は日韓対立が安全保障分野に波及する事態を懸念し、先週ミリー統合参謀本部議長が日韓両国を訪問。エスパー国防長官も訪韓し、「こうした対立で利益を得ているのは北朝鮮と中国だ」と協定維持を求めた。米国務省によると、21日(米東部時間)にはポンぺオ国務長官が韓国の康京和外相と電話会談した。

  米ワシントンのシンクタンク、スティムソンセンターの辰巳由紀氏は、「米国が地域の安全保障の課題に対応する姿勢を示す上では、日本と韓国の両方が同じ考えである必要がある」との認識を示す。日韓関係が崩れることは、「米国の同盟国ネットワークの健全性を示すことが不可能ではないとしても、極めて難しくすることになる」と述べた。

  

冷え込む日韓経済             

  日韓対立の影響はさまざまな分野に広がっている。10月の訪日外国人観光客数は、韓国人が前年同月比で65.5%減少し、同5.5%減となった。ラグビーワールドカップ出場国からの客数が増えたが補いきれなかった。日本製品の不買運動の影響もあり、財務省が20日発表した貿易統計(速報)では、対韓輸出額が前年同月比23.1%減となった。

  関係悪化を深めた要因の一つである日本の対韓輸出管理厳格化については、韓国が世界貿易機関(WTO)に提訴しており、19日に2回目の2国間協議を実施したが両者の隔たりは埋まっていない。

  日本総研の向山英彦上席主任研究員は15日付リポートで、輸出管理厳格化を契機に韓国で国産化や第三国からの輸入を進める動きが進み、「日本企業は手をこまぬいていればシェアの低下につながる恐れがある」と指摘。国産化には「クリアすべきハードルが多い」ため、日本からの安定供給が確認されれば動きが弱まるとも予想されるが、日本企業は「 韓国の国産化にどう対応していくのかが課題」とした。

  日本が輸出管理厳格化に踏み切った際の経産相で自民党の世耕弘成参院幹事長は、本来韓国は最優遇の「グループAの対象ではなかった」が、柔軟な対応を取ってきたと説明。韓国が徴用工問題で「日韓請求権協定という国際的約束を守る」との原点に戻れば、日本も「柔軟にやっていく用意」があり、「すべて韓国次第」との立場を示していた。

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