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GPIFの保有額非公表は裏目に、外債比率引き上げとの臆測呼ぶ

GPIF President Norihiro Takahashi Presents Annual Results
Photographer: Tomohiro Ohsumi
GPIF President Norihiro Takahashi Presents Annual Results
Photographer: Tomohiro Ohsumi

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有資産の内訳の公表を停止したことに対して、市場では保有の上限近くに達した外債運用比率を上げるのではないかといった臆測を呼んでいる。資産配分を基にしたGPIFの投資行動を先回りする売買を避ける狙いが、異例の非公表としたことで市場の関心をかえって高めてしまった格好だ。

  バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「今回の措置でGPIFの意図とは逆に資産構成の見直しに注目が集まってしまった面もある」と指摘。その上で、「次期ポートフォリオで外債の目標値を引き上げる可能性が高まったとみている。具体的には、例えば外債を5ポイント上げ、国内債を5ポイント下げるくらいか」との見方を示した。

  GPIFの年金積立金に占める外国債券の構成比は6月末に18.05%と目標値の15%を上回り、上限の19%に接近した。9月に為替差損の回避措置(ヘッジ)を講じた外債1.3兆円を構成比の管理上は国内債券に算入して急場をしのいでいる。

GPIFの資産構成比公表一時停止に関する記事はこちらをご覧下さい。

年金積立金に占める外債の構成比

出所:GPIF

資産配分を非開示

  GPIFはこれまで四半期ごとに公表していた資産別の収益額と保有額、年金積立金全体に占める構成割合を今年7ー9月期の分から来年7月まで公表しないと決定。今年度末にかけては構成比率の目標値などを定めた基本ポートフォリオを5年に一度見直す時期に当たり、策定中の方針を他の市場参加者に先読みされて割高な投資を余儀なくされるのを避けるためだ。

  保有額などの公表停止については、高橋則広理事長が8月下旬に開催した経営委員会で提案。議事概要によると、理事の一人が他の市場参加者に先回りされるリスクがあり、運用しにくいと説明した。これに対し、元日本銀行理事の平野英治委員長は「逆に思惑を呼んで、先回りリスクをむしろ高める」恐れがあり、「開示をやめる効果は必ずしもはっきりしない」と指摘した。

GPIF President Norihiro Takahashi Reports Investment Results

GPIF

  バンクオブアメリカ・メリルリンチの大崎氏は、「隠すと決めた直接のきっかけは8月の世界的な金利低下で外債の構成比が上限の19%を超えてしまい、売るつもりはないのにリバランスのために売るのではないかという思惑が市場に生じるのを避けたかったからではないか」と述べた。

  こうした市場の観測について、GPIFの広報担当者、本多奈織氏はブルームバーグの電話取材に対し、コメントを控えた。

ポートフォリオ見直しでも開示継続

  GPIFが前回14年に資産構成を示す基本ポートフォリオを見直した際は、国内債券からリスク性資産への大規模な入れ替えを実施して株高・円安の一因となったが、四半期ごとの情報開示は続けた。

  SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「GPIFは今回の公表停止で透明性が後退したのは明白だ」と言う。情報開示しておけば運用成績が悪化した場合に行き過ぎた批判を浴びにくく、開示が不十分だと説明責任より結果責任を問われやすいと指摘。「情報開示によって国民の信頼を得る努力を続けた方が良かったのではないか」と語った。

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