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研究者に年俸1億円、社長を上回る給与-NTTが米拠点で人材確保

  • 次世代技術開発に向けシリコンバレーで積極的に研究者を採用
  • ドイツにも拠点の開設を検討-NTTリサーチ五味社長
NTTリサーチの五味和洋社長

NTTリサーチの五味和洋社長

Photographer: Cyrus McCrimmon/Denver Post
NTTリサーチの五味和洋社長
Photographer: Cyrus McCrimmon/Denver Post

NTTは、グーグルやアマゾン・ドット・コム、アップルなど巨大IT企業が拠点を置く米シリコンバレーで優秀な人材を確保するため、最大100万ドル(約1億100万円)程度の年俸を提示して次世代技術の開発に必要な研究者を採用している。

  同社が今年7月に現地に設立した基礎研究拠点NTTリサーチの五味和洋社長兼最高経営責任者(CEO)がインタビューで明らかにした。1億円を超える年俸は親会社日本電信電話(NTT)の沢田純社長の2018年度の報酬を上回る。五味氏は具体的な人数については言及を避けたものの、すでに「ごく少数の人材」がこの給与水準で雇用されていると話した。

  国内で一般的に研究者に提示されている給与との比較では桁違いの報酬になるだけでなく、人材紹介のインディードによるとシリコンバレーでも研究者の平均年収は2000万円未満にとどまる。

  NTTリサーチには現在25人の研究者が在籍。量子コンピューターのほか、ブロックチェーンの安全性向上などに寄与する暗号情報理論、医療機器などへの応用が可能な生体情報処理の3分野で研究を進めている。

  五味氏によると同社は今後さらに採用を増やす計画で、ドイツでも拠点の開設を検討している。人件費も含め今後5年間で250億円を研究開発に投じる方針だ。

  今後さまざまな機器がインターネットにつながり膨大な量のデータ処理が必要になることを見据え、NTTはソニーや米インテルと共同で、データを迅速に処理しながら消費電力を大幅に抑えることが可能な次世代ネットワーク基盤の実現に向けて研究を進める計画を発表した。

  14日にはスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学や米航空宇宙局(NASA)などと共同で光通信技術を応用した新しい方式の量子コンピューターの開発に乗り出す方針も打ち出している。

経費削減がチャンス

  五味氏は、魅力的な報酬だけでは世界の強豪には勝てないと指摘する。NTTは自社の研究人材約5500人のうち注目を集める「スター研究者」を同拠点に移し、これらの研究者と共同に研究できる機会を与えるという実務面での付加価値も付けている。その結果、優秀な人材が「雪だるま式」に集まっているという。

  日本企業に限らず、破格の年収で研究開発に必要な人材を獲得する動きが出ている。五味氏によると、「ひと昔なら採用しようとしてもなかなかできなかった」人材が企業に集まりやすくなっているという。米ビジネス・インサイダーは昨年、米オラクルが人工知能(AI)のトップエンジニアに年俸600万ドル(約6億6000万円)を提示したと報じた。

  背景の一つにトランプ政権誕生以降、米政府が教育関連の予算を削っていることがあると五味氏はみている。米国の大学では研究継続のための予算不足に対する不安が高まっており、それが企業が研究者を獲得できるチャンスになっているとの認識を示した。米政府の公表資料によると、20年度の米教育省の予算は19年度比で12%減少する見通し。

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