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ゴーンショック1年、日産の混乱収まらず-時価総額1兆3700億円失う

  • 後継のトップも不正、業績低迷抜け出せず-ルノーとの関係に亀裂も
  • 弁護団は全面無罪主張、公訴棄却を要求-無罪なら検察崩壊との声も

日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が東京地検特捜部に逮捕されてから19日で丸1年を迎える。20年近くにわたって君臨した最高権力者の退場で扇の要を失った日産はいまだに低迷から脱し切れていない。

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弁護士事務所を出るゴーン被告(都内、今年3月)

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

  約1兆3700億円。昨年11月19日にゴーン被告が最初に逮捕された日以降、日産の時価総額から失われた金額だ。

  3割超の下落で最近は時価総額が3兆円を下回っており、スズキやSUBARU(スバル)に迫られる状況だ。ゴーン時代の収益性を犠牲にした拡大路線から軌道修正し、リストラに着手している事情はあるものの逮捕劇の衝撃の大きさを物語っている。

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西川前CEO

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  日産はゴーン被告抜きでの最初の決算となった2019年1-3月期で営業利益が前年同期比98%減の45億円に急落。続く4-6月期はさらに16億円と赤字寸前まで落ち込んだ。7-9月期はやや回復したものの今期(2020年3月期)の売上高や利益見通しを下方修正し、中間配当を大幅減額して年間の配当計画を撤回した。

  ゴーン被告なき後を担う経営幹部の人事も迷走した。西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)に株価連動型報酬で本来より多い報酬を受け取った不正が発覚、取締役会に引導を渡されて辞任した。ゴーン被告の不正疑惑の調査にあたった法務担当のハリ・ナダ専務ら複数の役員が類似の問題に関与していたこともわかり、ナダ専務は上級顧問となった。

  中継ぎの暫定CEOを挟んで12月1日に内田誠常務執行役員(53)が正式に就任する予定。日産はゴーン時代から幹部を務めていた古い世代と決別し、新しい体制の下で巻き返しを図る。

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内田次期CEO

  

  ゴーン体制で絶妙なバランスを保ちながら発展させてきた仏ルノーとのアライアンスにも亀裂が生じた。ルノーが日産に対して経営統合を要求する一方、フィアット・クライスラー・オートモービルズとの合併も画策したことで日産の反発を招き、株主総会で対立が表面化する寸前まで議論がこじれた。

  一方、ルノーの業績も悪化。CEOを含め経営陣の刷新で立て直しにあたるなど自動車業界の国際提携で唯一の成功例と称賛されたルノー・日産アライアンスの基盤が揺らいでいる。

捜査への批判も

  金融商品取引法と会社法(特別背任)違反の罪で東京地検に起訴されたゴーン被告(65)は4月に保釈され、現在は都内に滞在。娘と京都旅行を楽しむなど生活を楽しむ余裕も出てきたというが、初公判の日程もまだ決まっていない。

  ゴーン被告の弁護団は10月にゴーン被告に対する全ての起訴内容についてあらためて無罪を主張し、検察は不公正な目的で刑事訴追に関する職権を乱用したとして公訴の棄却を求める書面を東京地裁に提出した。

  弁護団を率いる弘中惇一郎弁護士は11日の会見で、今回の事件はゴーン被告を会社から追い出すために日産関係者がたくらんで検察が協力したものと指摘。捜査手続きでも違法性があり、「根本的に刑事事件としては問題のある裁判」と捜査自体の適法性を問い、無罪を目指す方針だ。

  元検事の郷原信郎弁護士は、弁護側の戦略について公訴棄却の主張が認められる可能性はないとした上で、裁判官は世論に左右される傾向があるため世の中にこの事件はおかしいという認識を与えられれば、「裁判所も公正な判断をしてくれる可能性はかなりある」と話す。

  これは検察の威信というよりも存亡がかかった事件であり、「この事件が崩壊したら、検察、特捜は崩壊する」と述べた。

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