長期金利の低水準継続、終身・年金保険の維持困難に-日銀主な意見
伊藤純夫
更新日時
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年金・投信は0.1%低下で数百億円収益減、マイナス金利を実質負担
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政策指針修正で緩和スタンス明確化、追加策を引き続き検討

日銀が11日に公表した10月30、31日の金融政策決定会合での主な意見によると、マイナス圏で推移を続ける長期金利が長期間継続した場合、終身保険や年金保険などを提供することが困難になり、「生命保険業界としての社会的使命を果たせなくなる可能性がある」と長期金利の低下に懸念を表明する委員がいたことが分かった。
この委員は、年金や投資信託について「円債運用において、金利が0.1%低下すると数百億円の収益減になる可能性がある」とも指摘。日銀の当座預金においてマイナス金利が適用されている残高の約半分を信託銀行が占めており、「年金や投資信託からの受託財産であり、その分のマイナス金利は実質的に年金や投資信託が負担していると言える」との見解を示した。
会合では、金融政策の現状維持を決める一方、政策金利のフォワードガイダンス(政策指針)を修正。物価目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる恐れに注意が必要な間、「現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定している」とし、将来の利下げの可能性を明示した。
物価2%目標に向けたモメンタムは維持されているものの、経済・物価の下振れリスクが引き続き大きいとの認識の下、政策指針の見直しで「政策金利の下方バイアスがあるものにすることで、緩和方向をより意識して政策運営を行っているというスタンスを明確にすることが適当」との意見が表明された。
これを踏まえた先行きの政策運営では、「モメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく、追加の緩和策を講じることが必要」との見解が改めて示されるとともに、「下方リスクの厚い現在、追加緩和の要否を引き続き検討すべきである」と追加緩和の必要性を主張する委員もいた。
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