ソフトバンクGが反落、ファンド1兆円赤字-孫社長は反省と強気
日向貴彦、古川有希-
一時4.2%安、下落率の大きさは約2カ月ぶり
-
ウィーワーク再建は「粗利上げ、経費下げ、EBITDA上げる」
ソフトバンクグループの株価が反落。ビジョンファンドで1兆円近い巨額赤字を計上、営業損益は四半期ベースで14年ぶりの赤字に転落した。孫正義社長は、自身の判断のまずさに反省の弁を述べつつ、投資事業の推進に向け萎縮は不要と強気の姿勢を崩さなかった。
株価は7日の取引で、一時前日比4.2%安の4141円と5営業日ぶりに下げた。下落率の大きさは9月17日(5%)以来、約2カ月ぶり。

ソフトバンクGの過去10年の株価とEBITDA
6日に発表した7-9月期(第2四半期)決算は、ビジョンファンドからの営業損益が9703億円の赤字となった。前年同期は3925億円の黒字。期末時点の投資先88銘柄のうち、米ウィーワークやウーバー・テクノロジーズなど25銘柄の公正価値減少が響いた。ビジョンファンド事業の収益は2017年4-6月期から公表されており、赤字は初めて。
全体の連結営業損益は7044億円の赤字。営業赤字への転落は05年4-6月期以来だ。前年同期は7057億円の黒字だった。純損益は7002億円の赤字。ウィーワークの株式評価損が発生したとし、今期(20年3月期)の個別決算で特別損失4977億円を計上する見込みとしている。
ジェフリーズ証券のアナリスト、アツール・ゴヤール氏はリポートで「第2四半期の損失は懸念された以上に大きい」と指摘。ソフトバンクGが始動準備を進めるビジョンファンド2号がリスクとした半面、今後自社株買いの可能性があるため、投資判断「ホールド」を維持した。

反省と強気が交錯した孫社長
Photographer: Kazuhiro Nogi/AFP via Getty Images
孫社長は会見で、決算内容について「ぼろぼろ。台風というか大嵐で、これだけの赤字を出したのは創業以来ではないか」と総括し、「私自身の投資判断がまずかった。反省している」と述べた。
ただ、「反省し過ぎて萎縮する必要はない」とも話し、7月に設立を発表した2号に続く3号ファンドの組成にも意欲を示した。2号ファンドに関しては、慎重に考えざるを得ない投資家がいるとしながらも、「おおむねの枠としてはファンド1と同程度になるのではないか」との見方を示した。サウジアラビアの政府系ファンドからの出資交渉については言及しなかった。
孫社長は、赤字計上の主因となったシェアオフィス事業のウィーワークに対する財務支援は、安値で買って全体の投資コストを下げる「株式価値の洗い替え」だと説明した。
また、ウィーワークの現状は「粗利が低い、経費が高い、EBITDAが赤字という数式になっている」とし、今後は「粗利を上げる、経費を下げる、EBITDAを上げることで立て直したい」と再建への道筋を語った。EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は、現預金を伴う企業価値の推移を示す。
決算詳細や記者会見の関連記事:
ソフトバンクG投資ファンド、1兆円の赤字に-14年ぶり営業損失
ソフバンクG社長、 巨額赤字も「萎縮不要」-3号ファンド意欲