トランプ大統領の怒り買う恐れ-米金融当局の利下げ休止メッセージ
Rich Miller-
先週発言した当局者、現行の政策スタンスに満足の様子
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3%成長を公約とする大統領には2%程度では不十分
米金融当局者は現行の政策スタンスに満足しているだろう。しかし、トランプ大統領はそうではない。
米金融当局者は先週、今年3回目となる利下げ決定を受け、政策を一時据え置く方針であることを一連の発言で強調した。
クラリダ連邦準備制度理事会(FRB)副議長は1日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「経済の見通しは明るい」と指摘。「経済は良好な状況にあり、金融政策も良好な状況にあるとわれわれは考えている」と語った。

米大統領選を1年後に控え、トランプ大統領がこのうち前者の判断に同意するのは確かだろう。だが、このことは大統領がパウエルFRB議長ら当局者の成果に満足していることを意味するわけではない。
連邦公開市場委員会(FOMC)による10月31日の0.25ポイント利下げ決定後、トランプ大統領は「パウエル議長と連邦準備制度に国民は失望している」とツイート。「金融当局は初めから速過ぎたり、遅過ぎたりと間違っていた」と批判した。

クドローNEC委員長
ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じたクドロー国家経済会議(NEC)委員長の発言はもっと抑制気味だった。クドロー氏は「幸運なことに、金融政策はようやく方向転回した」とコメント。「極端な引き締めから幾分、より緩和的なポジションに移行した」と話した。
JPモルガン・チェースやドイツ銀行のエコノミストは先週、米金融当局が今や一時休止の態勢に入ったとの見方を示した。だが、エコノミストが一般的に2%程度と目する緩やかな景気拡大ペースでは、3%以上の成長を公約したトランプ大統領にとって不十分と言えそうだ。
モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、エレン・ゼントナー氏は、トランプ大統領の攻撃から米金融当局を擁護する。ゼントナー氏は「彼らの責務が景気拡大をできる限り持続させることであれば、拡大を急停止させかねない景気過熱を容認しないこともそれに含まれる」とブルームバーグテレビジョンに語った。
Steady as She Goes
U.S. wage growth has cooled since a February peak, but gains are above average
Source: U.S. Bureau of Labor Statistics
原題:Fed Risks More Trump Anger With Message That Rates Are on Hold(抜粋)