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海運3社の業績に想定外の追い風-環境規制対応や米国の対中制裁で

  • 郵船は今期営業益予想を増額-海運市況堅調
  • 10ー3月期の用船料は底堅く推移する見通し:海運各社

海運大手3社の業績に思わぬ追い風が吹いている。来年1月から始まる船舶用燃料の環境規制への対応や中国の海運大手企業に対する米国の制裁の余波で海上運賃市況が改善。米中貿易摩擦の影響を受けた世界経済の減速懸念がある中で、市況上昇が各社の業績を後押ししている。

  世界的な環境規制に対応するため、各国の海運会社は船舶をドックに入れて排ガスから硫黄酸化物を除去する「スクラバー」と呼ばれる浄化装置の設置に取り組んでいる。

  商船三井の丸山卓取締役は10月31日の決算会見で、設置工事により、今後鉄鉱石などを輸送する大型のばら積み船や大型原油タンカー(VLCC)の供給は3%から3.5%引き締まるとの見通しを示した。当初想定していたよりもスクラバー取り付けの工事期間が長期化しており、船腹供給の減少が来年2月頃まで続けば海上運賃市況を下支えすることが期待できると述べた。

  イラン産原油を巡る禁輸措置に違反したとして中国のCOSCOシッピング・タンカー(大連)に対して米国政府が課した制裁も3社に好機をもたらしている。

This Is Where Saudi Arabia Gets Its Oil

サウジアラビアで原油を積むCOSCOのタンカー(2018年)

Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

  日本郵船の山本昌平常務経営委員は31日、制裁への懸念から荷主は世界全体の約10%に相当する約70隻のVLCCを保有するCOSCOグループの船の利用を避けていると述べた。

  川崎汽船の栗本裕執行役員はCOSCOシッピング・タンカーへの制裁影響について「一過性のもので今マーケットは落ち着きを見せているが、依然想定していたところよりは高い水準でとどまっている」と話した。

  郵船の決算発表資料によると、7-9月期のVLCCのスポット用船料は前年同期比約2倍の1日当たり約2万6500ドルだった。COSCO要因による供給引き締め効果が継続するため、同社は下期のVLCC用船料を4万7500ドルと見込んでいる。

VLCCのスポット用船料はCOSCOへの制裁を受け急上昇

  米中貿易摩擦の影響による荷動きの停滞が海運各社の業績を圧迫するとの懸念は、海上運賃の上昇で払拭(ふっしょく)される形となった。郵船は今期(20年3月期)の営業利益予想を従来予想比で60億円増額し405億円とした。商船三井と川崎汽船は今期の営業益見通しを従来水準に維持した。

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