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日本投資家の利回り追求、米中貿易摩擦でも中国債購入に向かう

  • 同じ格付けでも運用利回り差は日本の15倍超
  • 中国は新興国ではなく主要国になってきている-三菱UFJ国際
Traders work inside the Tokyo Stock Exchange (TSE), operated by Japan Exchange Group Inc. (JPX), in Tokyo, Japan, on Tuesday, July 24, 2018.

日本投資家の中国債購入意欲は、米中の貿易摩擦で市場に不透明感が漂っても薄れることはなさそうだ。日本国債と同じ格付けながら、利回り水準は15倍超。買い越しは2年続いている。国際的な債券指数への組み入れが進んでいることも、投資家の後押しをしている。

  三菱UFJ国際投信債券運用部の樋口達也エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、中国債について、「この格付けのレベルで3%台の金利が残っている国は非常に少なく、魅力的だ」と指摘。「経済規模も大きく、貿易戦争をやりながら数カ月でもびくともしていない。そんな国は単体では、世界中にない」と語る。

  ムーディーズの中国債に対する格付けはシングルA。世界の主要な格付け会社が日本とほぼ同じ評価をしているにもかかわらず、10年物国債利回りは3%台と、日本のマイナス0.2%付近を大きく上回っている。市場規模はアジアの中で日本に次ぐ大きさだ。ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーは、「将来的に重要な市場になっていくはずだ。まだ流動性のある金融市場ではないが、中国政府がそれを目指して着実に進めているのは事実」と言う。

 

外部機関が保有する主な中国債の保有額

  海外の投資家がオンショア人民元建ての債券を中国本土に口座を持たなくても、香港経由で取引ができる「ボンドコネクト」が2017年7月に導入されて以降、日本投資家の購買意欲は鮮明になっている。財務省の統計によると、国内勢による中国の中長期債投資(国債以外も含む)はボンドコネクト導入後、累計で8380億円の買い越し。月ベースの買い越しは17年9月から24カ月続いている。

3%台を維持する中国10年国債利回り

  日本で最大の中国債ファンドの公募投信を運用する岡三アセットマネジメントの堀川一賢シニアファンドマネージャーは、米中貿易戦争などの問題が片付いて、「ファンダメンタルズを反映するような金利の動きが形成されていくようになれば、そこでいろいろリスクを取って行こうと思う」と述べている。

  国際投資家の中国債購入の利便性につながる債券指数への組み入れも進んでいる。1月にはブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックスに採用されたほか、来年2月からはJPモルガンの新興市場インデックスへの組み入れが始まる。

  三菱UFJ国際投信の樋口氏は、国際投資の観点から「中国はだんだんと新興国ではなく、世界の主要国になってきている」と指摘。「まだ日本の投資家にはなじみが薄いアセットクラスだが、今後は主要な投資先になると考えている」と話した。

 

続く国内投資家の中国債投資

  ただ、中国国債の保有者はいまのところ、同国国内の商業銀行が中心で流動性を不安視する声も聞かれる。

  ニッセイアセットマネジメントの三浦氏は、「総投資額で運用している基金も増えている」としながらも、「普通の機関投資家が中国の債券に魅力を感じて買っているという話は聞かない。世界第2位の経済国にしては、エクスポージャー(リスクを取る度合)は相当少ない人がほとんど。流動性は違うのでそこはネックになると思う」と言う。

  人民元の資本規制なども懸念の一つだ。FTSEラッセルはこうした理由を背景に、世界国債インデックスへの組み入れを見送っている。かんぽ生命保険の福嶋亮介運用企画部担当部長は、「中国は長期的には良い資産になるとみている。ただ、投資するのは難しく、社内のシステムでどうやるか考えないといけない」と語った。

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