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Photographer: Bloomberg/Bloomberg

対外直接投資の拡大が円高を抑制か、ドル・円変動幅は2年連続最小も

  • 証券投資を上回り続ける直接投資、対外純資産の構成が変化
  • 直接投資は一方向の資金フロー、介入と全く同じ効果との指摘も
Japanese yen and U.S. dollar banknotes are arranged for a photograph in Tokyo, Japan on Sunday April 14, 2019. U.S. Treasury Secretary Steven Mnuchin said he wanted a currency clause in a trade deal with Japan to prevent deliberate manipulation of the yen to bolster exports, Japanese public broadcaster NHK said.
Photographer: Bloomberg/Bloomberg

日本企業による対外直接投資の拡大が円高の進行を抑えている一因となっているようだ。米中貿易摩擦や日米金利差縮小など円高要因が多い中、海外展開を進める企業からの資金流出が円高圧力を和らげ、ドル・円相場の変動幅は2年連続で過去最小になる可能性がある。

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、海外経済が危なくなれば投資家は外貨建ての有価証券を手放して円に戻すが、「海外で買った会社を簡単に売却することはない」と指摘。対外純資産の構成が変わったことで「緊急避難的な円買いが生じにくくなっていることは間違いない」と語った。米10年債金利がこの1年で3.2%から一時半分以下の水準に低下したことを考えれば、ドル・円相場のこう着ぶりは「異様」とみる。

  

対外純資産の構成が変化

証券投資を上回る直接投資の存在感

出所:財務省

直接投資残高と証券投資残高は対外対内投資のネット

  

  企業の海外での合併・買収(M&A)など直接投資残高は2014年から証券投資残高を上回り続けている。ことしは、タイヤ販売で世界最大手のブリヂストンがオランダのトムトムから車両管理サービスを手掛ける子会社を約1138億円で買収、また日本ペイントホールディングスが豪塗料メーカー、デュラックスグループを約3000億円で子会社化するなど日本企業によるM&Aが活発。財務省の集計によれば1-8月の直接投資は17.7兆円と前年同期に比べ2倍近く増加した。

  大和証券投資情報部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは「直接投資は反対売買がない一方向の資金フローなので、為替介入と全く同じ効果がある」との見方を示す。

  年初から10月30日までのドル・円の値幅は7円94銭(104円46銭-112円40銭)。仮に年末までのレンジがこの範囲にとどまれば、これまでの最小だった昨年の9円99銭を下回る可能性もある。日銀が公表している東京時間午後5時時点で集計した値幅を見ると6円82銭(105円20銭-112円02銭)とさらに狭いレンジとなった。

  日本は人口減少による市場の縮小もあり、企業の対外直接投資の拡大は今後も続く可能性が高い。唐鎌氏は「企業は海外の市場に進出するという強い動機がある上、過去最高水準の企業収益と高水準の現預金があり、買うための力もある」と指摘する。

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