キヤノン株が3カ月ぶり下落率、今期3度目の利益減額-構造的懸念も
院去信太郎

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg
Photographer: Keith Bedford/Bloomberg
キヤノンの株価が約3カ月ぶりの下落率を記録した。同社は28日、今期(2019年12月期)の連結営業利益計画を従来に比べ13%下方修正した。通期予想の減額は3度目だ。
株価は一時前日比4.1%安の2815円と続落し、下落率は7月18日(4.2%)以来の大きさとなった。
新しい今期営業利益計画は前期比45%減の1880億円で、市場予想の2095億円も下回った。従来予想は2150億円。決算短信によると、下方修正要因として新興国景気の回復の遅れを受けたレーザープリンターの低調、オフィス向け複合機の微減、レンズ交換式デジカメのエントリーモデルの縮小などを挙げた。
第4四半期(10-12月)以降の想定為替レートは1ドル=105円、1ユーロ=117円とし、前期比ではそれぞれ約2円、約9円の円高水準になる。
同時に公表された第3四半期(7-9月)の営業利益は前年同期比44%減の384億円と、市場予想の467億円に届かなかった。為替の円高推移や米中貿易摩擦の長期化による世界経済減速の影響を受けたとしている。一方で、複合機の中でもカラー機や新製品は伸長し、新規事業のメディカルは順調とした。
JPモルガン証券の森山久史アナリストはリポートで、「オフィス、イメージングは市場の構造変化から逃げ切れていない」と分析し、投資判断「アンダーウエート」と目標株価2700円を継続した。
SMBC日興証券の桂竜輔アナリストも「ネガティブな印象」とし、注目する9月末の在庫水準が6343億円と高水準が続いており、本質的な底入れの兆しが見えないと懸念を示した。
今期業績計画 |
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