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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日銀のETF頼み薄れる日本株市場-副作用対応の貸付制度に期待

更新日時
  • 景気や業績の底入れ期待で株価は回復、増額必要なしとの声
  • 日銀会合直前に市場関係者と貸付制度で意見交換会-流動性向上も
Pedestrians walk past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan, on Monday, July 8, 2019. Governor Haruhiko Kuroda said extremely low interest rates will be kept in place until at least around next spring while the bank will keep an eye on risks for price momentum.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本株が年初来高値を更新する動きになっていることで、株式市場では31日の日本銀行の政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ増額への期待は高まっていない。半面、日銀が導入を検討しているETF貸付制度については実現を期待する声が聞かれる。

  ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、「日銀は今回ETFに関して現状維持で問題ない。増額はあり得ない」と語る。その理由について「物価は弱いが、日本株は景気や業績の底入れ期待で順調に回復傾向にある。為替も1ドル=105円に接近するような状況ではない」と説明する。

1年ぶり高値水準へ急回復

  買い入れ長期化による副作用を懸念する声も根強い。野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは「需給をゆがめてしまうなど日銀が日経平均型を買うことのデメリットは大きい」と話す。さらに、償還のないETFは将来の出口戦略が描きにくい上、貸付制度が実現していないこともあり、ETF買い入れ増額の可能性は低いとみる。

1兆円増額や指数対象見直し観測も

  一方、今回の決定会合でマイナス金利の深掘りなどリスク予防・保険的な追加緩和の可能性を見込む声もある。モルガン・スタンレーMUFG証券は、追加緩和パッケージの一つとしてETF買い入れを1兆円増額すると予想した。日銀は年間6兆円に相当するペースで買い入れ方針を維持しながらも、2018年は6兆5040億円を買い入れた。増額を決めればサプライズと受け取られそうだ。

  買い入れ増額を見込む向きは少数派だが、株価指数の買い入れ対象を修正する可能性はあるとみるのが野村証の池田氏だ。日経平均型を継続して買い入れている現状下では市場に持続困難を意識させやすく、日経平均型の減額を「修正することは十分あり得る。その際は日経平均が買われにくくなる」と予想する。

貸付制度でETF流動性向上 

The Last Trading Day Of The Year At The Tokyo Stock Exchange

ETF貸付制度前進なら流動性向上も

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  むしろ株式市場で中長期的な期待が高いのはETF貸付制度の実現だ。日興アセットマネジメントの今井幸英ETFセンター長は、「マーケットメーカーが市場で売り過ぎた場合などに受け渡しが困難になることがある」として、貸付制度が実現すれば「マーケットメーカーが利用することでETFの流動性が上がる。ETFが活発化すれば、背景にある現物や先物にもプラス効果が期待できる」と語る。

  日銀は4月、ETF貸付制度の導入を検討すると発表した。10月17日には市場関係者との意見交換会を開催するなど具体的な検討を進めている。これとは別に東京証券取引所でも、4月から「マーケットメイク制度バージョン2.0」を開始させ、ETFの流動性向上に向けた試みを進めている。日銀は日本のETF市場の7-8割を保有している。一部の日銀関係者からは、貸付制度は実現を急ぐより市場で利用されやすいスキームにすることが望ましいとの考えが出ている。

  日銀はETF貸付制度を来春にも始める方針だと、30日付の日本経済新聞朝刊が報じた。説明会で貸し付けの際に実施する入札を月1回とする案を伝えたとしている。スマートカーマのアナリスト、トラビス・ランディー氏は電話取材で「日銀の貸し出しシステムは、流動性を促すならとても良い」と評価しながらも、もし入札が月1回にとどまるなら「限定的で良くない。貸し出しは切れ目のないマーケット。ETFもそれより多い頻度で行われるべきだ」と語った。

(最終段落に貸付制度の導入時期に関して追記します)
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