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ISの脅威なくなったとの見方は時期尚早-バグダディ容疑者死亡でも

  • テロ攻撃が多少増加する恐れ、ただISから離れる人も増えると識者
  • 国家樹立目指す組織から過激思想運動への移行加速する見通し
アブバクル・バグダディ容疑者

アブバクル・バグダディ容疑者

Photographer: Anadolu Agency/Anadolu
アブバクル・バグダディ容疑者
Photographer: Anadolu Agency/Anadolu

過激派組織「イスラム国」(IS)最高指導者のアブバクル・バグダディ容疑者が米軍の急襲作戦中に自爆して死亡したことにより、「国家」樹立を目指す組織から過激思想運動への移行というIS内で進みつつあった動きが加速する見通しだ。これに伴い、世界で最も恐れられるテロ組織だったISはもっと従来型の脅威になると考えられる。

  ISは数年にわたる米国主導の軍事作戦によりイラクとシリアの支配地域の大半を失い、多くの戦闘員が拘束された。このため、バグダディ容疑者が死亡する前に既に求心力は弱まっていた。

  確かに、バグダディ容疑者の下でイスラム国は指揮中枢の体裁を保ち、支配の権利を神から授かったと主張していた同容疑者の後継者を見つけるのは難しいとみられるが、それでも同容疑者の死亡によりISの武力の脅威はなくなったと考えるのは時期尚早だ。特にISがテロ攻撃を続けている他の地域ではそう言える。

  カナダのクイーンズ大学准教授でロンドンのシンクタンク「戦略対話研究所」研究員、アマルナス・アマラシンガム氏は、「聖戦主義者(ジハーディスト)の系統を持つ軍事リーダーで、IS移行の強いシグナルを発することができる人物が現在求められており、後継者はこれに適した者になるだろう」と指摘した。

  バグダディ容疑者の死はその支持者にとって、まだ侮れないだけの勢力を維持していると米国などに知らしめようとするためのスローガンになるかもしれない。しかし問題は、大規模な報復を行うだけの能力がまだ残っているかどうかだ。

  アマラシンガム氏は、「テロ攻撃が多少増加する恐れはあるが、それは想定されることであり、力強さと混同すべきではない」とし、「バグダディ容疑者の死によって活動をやめ、通常の生活に戻る支持者も同じぐらい出そうだ」と指摘した。

  ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのファワズ・ゲルゲス教授(国際関係論)は、「ISの『死亡記事』を書くのは無謀かつ時期尚早だ。その組織にはまだ復元力がある」と話す。

  バグダディ容疑者の後継者が誰になるかが重要であり、中東問題の専門家である米国防大学のポール・サリバン教授は「ISはよく似た存在であるマフィアのように後継者を見つけるだろう。その人物がバグダディ容疑者よりももっと凶悪である可能性もある」と警告した。

原題:Baghdadi Death Eliminates Islamic State Chief But Not the Group(抜粋)

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