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Photographer: Jamie Grill/Getty Images

CLOの火薬庫、くすぶる危険性-高債務の米企業に迫るトラブル

  • 信用度が低い企業への安価な資金提供で景気拡大持続に寄与
  • CLOによるレバレッジドローン一斉売りで借り換え困難にも
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Photographer: Jamie Grill/Getty Images

ローン担保証券(CLO)はウォール街の魔術が編み出した金融商品の1つで、数十年前から存在している。よく似た債務担保証券(CDO)と同様に、高リスクの債権をまとめてパッケージ化するためのツールだ。

  CDOと異なり、 CLOはほぼ無傷で金融危機をくぐり抜け、その後の10年間にブームになった。この期間に3兆5000億ドル(約380兆円)という過去最大規模のプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社による買収と、米国の超低金利を背景とした投資家のリスクテーク意欲に後押しされ、CLO市場は2010年に比べ2倍以上の6600億ドル規模に成長した。信用度が低めの借り手に安価な資金を豊富に提供することで、CLOは米史上最長の景気拡大に寄与した。

  しかし、20年にリセッション(景気後退)入りする可能性が高まるのに伴い、信用格付け引き下げがCLOによるレバレッジドローン一斉売りをもたらすリスクがある。多くの企業が借り換え困難に見舞われ、存続が脅かされる恐れもある。

  CLOを含め複数のファンドを運用するZキャピタル・グループのクレジット部門責任者、アンドルー・カーティス氏は「低格付けローンに対する価格面の支えがなくなれば、時間と共に新規ローンおよび借り換え市場に反映され、最低格付けの借り手は資本市場へのアクセスを失うことになるかもしれない」と述べた。 市場の不安定性は高利回り債市場にも波及し、経済全体に影響し景気後退を深刻化させたり長引かせたりすることさえあり得ると付け加えた。

Wall Street's CLO Machine

Size of the U.S. collateralized debt obligation market

Data: Securities Industry & Financial Markets Association

  問題の核心は、そもそもCLO市場の成長を加速させたのと同じ現象、つまり超低金利だ。CLOはレバレッジドローンと呼ばれるローンの債権をパッケージしたもので、同ローンは基本的に、伝統的な銀行が容認しないほどの債務を企業のバランスシートに積み上げる。こうしたローンを数百集めて組成されるCLOは、利回りとリスクの異なる複数の部分に分けて投資家に販売される。

  これがうまくいくのは、金利が10年にわたって歴史的な低水準にあり、大量の債券がマイナス利回りとなる世界で投資家が利回りに飢えているからだ。しかし、その低金利が今、問題を引き起こしている。低金利の中で利回りを求める投資家のおかげで、PE投資会社は買収した企業の債務をどんどん膨らませることができ、CLOマネジャーはこうした高リスクのローンを購入せざるを得ない。

  一部の推計によると、レバレッジドローンの29%がS&Pグローバル・レーティングでは「B-」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスで「B3」の格付けになっているという警戒すべき数字がある。両社とも、これはデフォルト(債務不履行)直前の格付けであるCCCのすぐ上だ。

  ほとんどのCLOは、CCC以下の格付けのローンが7.5%を超えないように契約で制限されている。このため、アナリストの多くが恐れるように景気が悪化し、レバレッジドローンの格下げが増えると、CLOマネジャーは困ったことになる。CCCになってしまったローンを急いで売るか、条項が発動されてCLO保有者への支払いを止めざるを得なくなる。

Warning Signal

Upgrade-to-downgrade ratio (Values below 1 mean more down than up)

Data: Compiled by Bloomberg

  CLOはレバレッジドローン残高の約54%を保有している。CLOマネジャーらはトリプルCの危険地帯に近いローンを売り始めている。TCWグループのマネジングディレクター、ドルー・スウィーニー氏は、信用力が悪化したB3格付けローンには居場所がないとして、「B3からCCCに格下げされれば市場はすぐに反応する。CLOマネジャーが売ろうとするからだ」と話した。

  一方、業界団体であるローン・シンジケーション・アンド・トレーディング・アソシエーション(LSTA)のエグゼクティブディレクター、リー・シャイマン氏は心配していないと言う。「CLOがCCC格付けのローンを売ることを選択した場合、喜んで購入する投資家が大勢いる」と同氏は述べた。

  ではその買い手は誰かというと、CCCのローンを売らなければならないという制約のないレバレッジドローン投資信託などだ。しかしこうしたファンドからは過去48週中47週で資金が流出しており、頼りになる需要源とは思われない。

  ディストレスト債に投資する資金のあるファンドも社債投資には慎重さを増している。財務状況について情報を開示しない借り手が増えているためだ。CLOを販売する資産運用会社、サウンド・ポイント・キャピタルの最高投資責任者、スティーブン・ケッチャム氏は「車台にさびがあるかどうかを確認できずにオンラインで車を買おうとするようなものだ」と述べた。

  レバレッジドローンの借り手の財務状況を承知しているのは既にローンを購入している投資家だけだが、こうした投資家も買い増すつもりはないだろう。

  S&Pによる格下げが09年以降で最も格上げを上回るペースとなっており、状況は悪化するばかりだ。ムーディーズによる格下げと格上げの比率も似たような状況。ブルームバーグがまとめたデータによると、トリプルCまたはそれに近い格付けの企業は向こう5年間に5080億ドルの借り入れが返済期限を迎える。

Barreling Toward the Danger Zone

Biggest share of leveraged loan market is now at edge of lowest ratings tier

Data: Moody's Investors Service data compiled by Nomura

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:CLO Powder Keg: Trouble Brews for America’s Debt-Laden Companies(抜粋)

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