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金融庁・日銀がLIBOR利用で実態調査、廃止控え洗い出し急ぐ

  • 銀行・証券・保険が対象、貸し出しやデリバティブなど利用状況把握
  • 経営主導の体制整備促し、混乱回避・円滑移行を目指す

金融庁と日本銀行は、2021年末にロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の公表が停止される可能性が高まっていることを踏まえ、銀行や証券会社、保険会社を対象に、貸し出しやデリバティブ、証券投資などでLIBORがどう利用されているのかを把握するための合同調査に乗り出した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  LIBORを基準として使う取引の利用状況を詳細に洗い出した上で、廃止に備えた各社の体制整備を促し、混乱の回避と代替指標への円滑な移行を目指す考えだ。

  LIBORは貸し出しやデリバティブなどの基準金利として膨大な金融取引に使われており、機関投資家や事業法人などを含めて利用者も多岐にわたる。金融取引における重要なインフラとなっているLIBORの廃止を十分な備えのないまま迎えれば、利息の受け払いに支障が生じるなど深刻な混乱も起きかねない。

  調査ではLIBORの利用状況で、1)貸出金や投資している債券、株式、投資信託などの運用サイド、2)預金や債券、株主資本などの調達サイド、3)金利・通貨スワップなどデリバティブ取引について、円やドルなど通貨毎に残高と想定元本、契約件数などを報告するよう要請。廃止時にLIBORに代わる指標を定めたフォールバック条項を盛り込んだ契約数の報告も求めている。


対応状況も調査


  また、関係部署が対顧客部門にとどまらず、法務や財務、システム、リスク管理など広範にわたることから、それぞれの部門における対応状況も調査。LIBOR廃止に対応する専門的なチームの設置の有無も調べる。

  日銀の河西慎金融機構局金融第一課長はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「今回の合同調査は、各金融機関におけるLIBOR参照取引の規模、LIBOR後継金利の採用状況、検討態勢の整備状況などを日本円当局として正確に把握するとともに、円滑な移行に向けた対応がさらに促進されることを期待して行うもの」とコメントした。金融庁からはコメントを得られなかった。

  LIBOR廃止という重大な事態への危機感が乏しい金融機関もあり、金融庁と日銀は一連の調査を通じ、経営陣がしっかり関わる形で各企業が早急に対応することを促す考えだ。

  日銀によると、金融商品・取引におけるLIBORを利用した契約金額は5通貨(円、米ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン)合計で、2014年に約220兆ドルに達している。

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  LIBORの後継となる代替金利指標の策定作業は日本を含め世界的に進められている。このうち円に関しては、日銀が事務局を務める「日本円金利指標に関する検討委員会」が代替金利指標などについて検討を進めており、パブリックコメント(意見公募)も募った上で11月中にも方針を取りまとめる予定だ。

  日銀の雨宮正佳副総裁は10日の講演で、LIBORの公表が停止された場合には影響が幅広く及ぶ可能性があるとし、機関投資家や事業法人などが「代替金利指標への円滑な移行という共通の目的に向かって必要なアクションを起こしていかなければならない」と訴えた。

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