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英首相に立ちはだかる数の壁、EUと離脱合意後も議会支持確保は不明

ジョンソン英首相

ジョンソン英首相

Photographer: Simon Dawson/Bloomberg
ジョンソン英首相
Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

ジョンソン英首相は欧州連合(EU)と離脱合意にこぎ着けたが、英議会で可決に必要な票を確保できるだろうか。

  メイ前首相はここでつまずいた。英政府は今週、EUとの交渉に向き合う一方で、与党・保守党のみならず野党の議員にも支持を呼び掛けていた。鍵になる数字は以下の通りだ。

目標 :320

  ジョンソン首相が下院で合意案を可決させるには、320人の議員の支持が必要になる。

ベースライン:259

  メイ前首相が3月、自身の離脱案を最後に議会採決にかけた際には保守党議員279人が賛成票を投じた。この大半はジョンソン首相の案も支持すると見られるが、首相は9月、合意なき離脱を阻止する法案に賛成した議員らを党から追放。この結果、前首相案を支持した元保守党議員19人の票が確保できるか疑問符がつく。さらに当時と比べて保守党議員の議席が1つ減ったため、ジョンソン首相が上積みに必要な票数は61となる。

合意なき離脱に反対の議員:19

  ゴーク元司法相ら追放された元保守党議員は気質的には党の方針に忠実で、合意なき離脱阻止法案の以前には一度も党の方針に造反したことがなかった議員もいる。党への復帰を模索している議員も多い。ジョンソン首相の案に反対票を投じれば合意なき離脱に陥るとの不安もあり、首相がEUと合意を成立させ採決にかけるなら、このグループは支持に回る可能性もある。

  ただ、ゴーク氏は首相の信頼性に疑問を投げかけており、投票行動は不透明だ。

北アイルランドの民主統一党(DUP):10

  ジョンソン首相はDUPの支持を取り付けようと努力を重ねている。15日夜にはDUPとの会合に1時間半費やしたほか、16日も再び会談した。DUPは英本土と北アイルランドとの間にある種の国境が生まれることに強い警戒感を抱く。だが、合意なき離脱や労働党のコービン党首が首相に就く展開も恐れているため、ジョンソン首相案の支持がましな選択肢だと考えるかもしれない。

保守党のEU離脱強硬派:28

  強硬派を自称する保守党内の一派は、メイ前首相の合意案への支持を拒否。ジョンソン首相の誕生後も、最低限の内容でしかない離脱合意以外は反対すると言明してきた。だが過去数週間で妥協する姿勢を見せ始めた。合意なき離脱阻止法の成立で、EU離脱そのものが取り消されることを懸念している。

  強硬派のリーダー、スティーブ・ベーカー議員は15日、首相が「許容できる」合意を結んでくることを楽観していると発言。強硬派の2人はジョンソン政権の閣僚に就いているため、少なくとも2人の支持は期待できそうだ。

労働党議員:21

  メイ前首相は合意案成立に野党・労働党を頼ったが、支持に回らせることに成功したのは5人にすぎなかった。ただ、前首相の案を支持しなかった労働党議員15人が今月、合意を促すEUへの書簡に署名した。

  コービン党首率いる同党執行部はジョンソン首相案の否決を総選挙勝利に向けた重要なステップと捉えており、首相案を支持する同党議員は追放されるリスクを背負う。

無所属、その他:7

  メイ前首相の合意案には無所属議員の4人が賛成。5人目も支持に傾いているかもしれない。党としてEU離脱に反対する自由民主党(LDP)にあって、次期総選挙には出馬しない意向を固めているノーマン・ラム議員はEU離脱を支持している。ジョンソン首相の実弟で、閣僚を最近辞任したジョー・ジョンソン議員もメイ首相案には反対したが、賛成に回る可能性がある。

  ここで挙げたすべての議員の票をジョンソン首相が確保できれば、85票が上積みされ、必要な61票を上回る。厳しいが、実現不可能ではない。

原題:
Will U.K. Parliament Back a Boris Johnson Brexit? We Do the Math(抜粋)

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