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外資出資規制案、諸外国対比など説明不十分で了承見送り―自民党

更新日時
  • アクティビストのマネーの穴になることを懸念―柴山政調会長代理
  • 事前届け出免除制度入るので規制強化にはならない―木原政調副会長

自民党の柴山昌彦政調会長代理は11日、外資規制を見直す外為法改正案の了承を前日の政調審議会で見送ったことについて、安全保障に懸念を持つ議員から、免除基準に違反した投資家への是正措置や諸外国との対比といった説明が不十分との意見が出て差し戻されたと説明した。

  自民党は海外諸国との事例比較などの資料の再提出を財務省に要求、早ければ週明けにも再度議論する予定。財務省から必要な説明あれば、次回会合で了承する見通し。政府は今臨時国会での成立を目指している。

  財務省は8日、国の安全などを損なう恐れがある対内直接投資への規制を強化するため、外国投資家が原子力や通信などの指定業種の上場株を10%以上取得した際に必要な事前届け出の対象を1%以上に拡大する一方、経営への関与を目的とせず安全保障上の問題もないポートフォリオ投資家に対する「事前届出免除制度」を導入して手続きを簡素化する案を公表した。

外為法改正案に関する記事はこちらをご覧ください

  柴山氏は11日、ブルームバーグの取材に対し、米国が外資規制を強化する動きを踏まえると「日本の外資規制が明らかに見劣りをするものとなってしまうと、行き場を失ったアクティビストのマネーの穴になってしまうのではないか」と指摘。その上で、「投資の予測可能性を考えて、特に国の安全を損なう恐れのないと判断する投資への免除基準をしっかりと明確化することが必要」との考えを示した。

グローバルスタンダード

  自民党が差し戻しとした理由の1つに、ポートフォリオ投資家の届け出免除基準がある。財務省案では、1)役員に就任しない、2)事業の譲渡・廃止を提案しない、3)非公開の技術・情報にアクセスしないーなどを挙げ、勧告や命令により基準の順守を担保するとしている。

  柴山氏は「役員は解任すればいいし、譲渡や廃止提案はなかったことにすることはできるかもしれないが、情報にアクセスしてしまっていたら是正のしようがない」と指摘。そうした懸念を晴らすために、財務省に再度の説明を求めたという。

  一方、外国人投資家から規制強化への懸念の声が上がっていることから、「投資家の予測可能性を奪うようなグローバルビジネススタンダードから容認できないような不透明なものになってはいけない」とし、投資家の不安を払しょくするような基準を定めることが大事だと述べた。

  柴山氏は「法案そのものを変える必要はない」と述べ、今臨時国会で法案を成立させた上で、「告示レベルで基準を明確化し、ステークホルダー、特に投資家にしっかり説明を行っていけば、足りるのではないか」との考えを示した。

規制強化にならない

  自民党の木原誠二政調副会長は11日ブルームバーグに対し、「事前届け出免除制度が入るので規制強化にはならない」と述べた。その上で、「金融界の懸念を受け止めている議員はいるとは思うが、免除制度をきちんと確保することが重要であって、枠組み自体に反対している人はいないだろう」とし、諸外国との比較など必要な説明が財務省からなされれば、次回会合で承認されるとの見通しを示した。

  アジア・セキュリティ-ズ・インダストリー&ファイナンシャル・マーケッツ・アソシエーション(ASIFMA)の株式責任者、リンドン・チャオ氏は、外国投資家に対する日本株の保有規制強化は「憂慮すべき事態」であり、意図せぬ市場への影響を考えると、政治的配慮が必要だと述べた。

  チャオ氏は都内でのインタビューで、「人為的な障壁を設けることは概して非生産的であり、当該市場の強さに対する信頼の欠如を示唆していることを、われわれは他の市場で見てきた」と語った。
  

(10段落目以降に専門家のコメントを追加して更新しました.)
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