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米金融当局、物価目標の達成手法巡り議論深める-FOMC議事要旨

  • 「インフレの埋め合わせ戦略」と「目標レンジ」が2大焦点に
  • 将来の当局者を縛るような約束をすることには懸念の声上がる

米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、将来の金融当局者の行動を縛ってしまうような約束を現時点ですることが果たしてできるのだろうか。

  最大限の雇用と物価安定という目標の実現に向けた最善の方策を当局者が検討するのに当たり、この質問は極めて重要な意味を持つ。9日に発表された9月17、18両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、当局者が真剣な議論を交わしていることが示された。

Key Speakers At The NABE Annual Meeting

パウエル議長(10月8日、コロラド州デンバー)

Photographer: Daniel Brenner/Bloomberg

  議論の中心に据えられているのは、パウエルFRB議長が「インフレの埋め合わせ戦略」と呼ぶものだ。

  具体的には、インフレ率が2%の当局目標を下回って長期間推移した場合、2%を上回るインフレとなってもしばらく容認することを約束するもので、逆に当局目標を上回るインフレが続けば、その後は2%を下回ってもしばらく容認することになる。

  しかし、これには1つの大きな問題がある。金融当局が実際にこの公約を果たそうとするときに、パウエル氏はもはや議長でなくなっているかもしれないという点だ。

  9日発表の議事要旨によれば、当局者は2つの選択肢を話し合った。その1つは2%のインフレ目標の上下にレンジを設けることで、もう1つは埋め合わせ戦略を使って平均でインフレ目標の達成を目指すものだ。

  FRBスタッフはモデルシミュレーションを用い、埋め合わせ戦略のさまざまな特性を当局者に説明してみたが、その結果には懐疑的な意見も示されたという。

  「多くのFOMC参加者は、スタッフが分析した埋め合わせ戦略に慎重な姿勢を示した」と議事要旨は記述。この枠組みでは金融当局の政策面の柔軟性についてあまりにも多くを犠牲にし、「このようなコミットメントを将来の当局者が実行するのは難しいかもしれない」との懸念の声が一部の当局者から上がったとしている。

  一方で、時間をかけて平均で2%のインフレ目標を実現する戦略には広範な支持がある様子で、これが最善の方法である可能性に大半の参加者はオープンな姿勢だったという。

  さらに、幾人かの参加者はインフレ目標レンジ設定のアイデアに支持を表明し、2%をやや上回る数値を目標レンジの中間点とするか、2%をレンジ下限とする政策を検討することに2、3人の参加者は前向きだった。

Survey measures of U.S. inflation expectations have slipped lower

  クラリダFRB副議長とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はいずれも、埋め合わせ戦略の長所について話すと同時に、その短所も認めている。平均でインフレ目標を達成しようとする場合、2%を上回る期間が続いた後には金融引き締め策が求められるだろうが、将来、その時点の経済情勢次第では別の政策対応が必要とされるかもしれない。

  リッチモンド連銀のバーキン総裁は9月26日、埋め合わせ戦略について記者団から問われたのに対し、「心配な点がある。ささやかな成果を追求して過度に手を加えようとしても、首尾良くやるのは至難の業だ」と述べた。

  当局の現行のアプローチでは、2%のインフレ目標未達でも不問に付している。

  9月のFOMCでは、政策について将来の当局者を縛ることになるような約束をすることに幾人かの当局者が懸念を示した。スタッフの分析でも、こうした戦略が利益をもたらすかどうかは民間セクターの理解のほか、将来の当局者がどのようにそれを実行していくかに左右される点を強調した。 

原題:Fed Officials Getting Serious About Strategies for Low Inflation(抜粋)

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