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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

量拡大継続のコミットメント、日銀は柔軟運用を-山岡前日銀局長

  • 国債買い入れ減と銀行券鈍化、短期的にも金利操作が行き詰まる恐れ
  • マイナス金利の深掘りなら銀行資本圧迫、好結果を生まない可能性
Pedestrians walk past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan, on Monday, July 8, 2019. Governor Haruhiko Kuroda said extremely low interest rates will be kept in place until at least around next spring while the bank will keep an eye on risks for price momentum.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

前日本銀行決済機構局長の山岡浩巳氏は、日銀の国債買い入れ額が減少を続ける中、消費者物価上昇率が目標の2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」の運用を柔軟化すべきだとの考えを示した。日銀が量の拡大継続を厳格に行えば、短期的にもイールドカーブコントロールは行き詰まる可能性があるという。

  日銀が「ゼロ%程度」を誘導目標とする長期金利はマイナス圏での推移が続いており、国債買い入れの減額に伴い、マネタリーベースの拡大ペースも急速に鈍化。2013年4月の量的・質的金融緩和の導入後には、月中平均残高の前年比伸び率が50%を超える局面もあったが、19年9月は3%まで縮小している。

  山岡氏は4日のインタビューで、マネタリーベースの伸び率縮小の背景には、残高の5分の1程度を占める銀行券の伸び鈍化もあると分析。消費増税対策のポイント還元措置など政府によるキャッシュレス化の推進もあり、「銀行券の動向も踏まえれば、短期的にマネタリーベースは伸びにくい。瞬間的には減少することもあり得る」と語った。

  今後も金利低下圧力と銀行券の伸び鈍化の継続が想定される下で、マネタリーベース拡大とイールドカーブコントロールを両立させることは「容易ではない」とし、マネタリーベースの拡大が「短期的にインフレ率に直結する動きはほとんどない」とも指摘した。

  量の拡大継続と過度な長期・超長期金利の低下の抑制という矛盾が表面化する前に、日銀による金融市場調節が「制約されない環境を作っておくことが有益だ」とし、現在の金融政策運営の枠組みに沿って「金利を優先し、オーバーシュート型コミットメント(の運用)を柔軟にした方がいい」と提言した。

マイナス金利深掘り

  他方、米欧の中央銀行が再び金融緩和に転じ、日銀も追加緩和に前向きな姿勢を示す中、10月30、31日の日銀金融政策決定会合に市場の注目が集まっている。追加緩和に踏み切る場合、現在マイナス0.1%の短期政策金利の深掘りが有力な選択肢とみられている。

  山岡氏は、預金比率が高い日本の金融機関の資金調達構造などを踏まえれば、「マイナス金利への対応は、諸外国の銀行ほど簡単ではない」と主張。世界的な金融危機を教訓に、国際的に銀行の自己資本強化が求められている中で、マイナス金利の深掘りなど「銀行の自己資本を削り続ける政策は、経済全体のバランスとして良い結果を生まないように思う」と語った。

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