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旭化成株に買い、吉野名誉フェローがノーベル賞-リチウムイオン電池

更新日時

10日の日本株市場で旭化成株に買いが入った。今年のノーベル化学賞は、リチウムイオン電池開発の功績から同社名誉フェローを務める吉野彰氏らが受賞し、同社の技術力や研究開発力が投資家に再認識された格好だ。

  旭化成株は一時前日比3.9%高の1148.5円と続伸し7月9日以来、3カ月ぶりの高値を付けた。売買高は過去半年の1日あたり平均の336万株を大きく上回った。

  スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞は日本の吉野彰、英国のスタンリー・ウィッティンガム、ドイツ生まれのジョン・グッドイナフ3氏に贈ると発表。声明では、リチウムイオン電池は1991年に市場に投入されて以来、「われわれの生活に革命をもたらした」と評価。「ワイヤレスで化石燃料のない社会の基盤を築き、人類に最大の恩恵を与えた」とたたえた。

Lithium-ion Batteires Inventor Akira Yoshino Interview

吉野旭化成名誉フェロー

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  吉野氏は9日夜、東京都内の旭化成本社で会見し、受賞の喜びを語った。会見の模様はNHKウェブが伝えた。この中で同氏は、受賞を聞いた時には「うれしさよりも戸惑いの方が大きかった」と振り返るとともに、「いろいろな分野で研究している若い人たちの大きな励みになると思う」と語った。

  吉野氏は大阪府吹田市出身で71歳。72年に京都大学大学院を修了後、旭化成に入社した。イオン二次電池事業グループ長や電池材料事業開発室長など電池研究に従事し、17年から現職にある。04年に紫綬褒章、18年に国際科学技術財団の日本国際賞、19年に欧州特許庁の欧州発明家賞などを受賞している。   

  リチウムイオン電池は正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素材料を使用し、小型軽量や充放電のサイクル寿命が長いのが特徴だ。吉野氏は、負極に旭化成が研究中だった炭素繊維を試し、現在のリチウムイオン電池の原型となる二次電池を世界で初めて製作した。旭化成はリチウムイオン電池部材のセパレーターでシェア首位。

  リチウムイオン電池は携帯電話やノート型パソコンなどIT機器の世界的普及に貢献し、用途は電気自動車など新市場にも広がっている。市場調査会社の富士経済によれば、世界のリチウムイオン二次電池市場は自動車電動化の影響などから22年に7.4兆円と17年に比べ2.3倍となる見込み。

  岡三オンライン証券によると、関連する日本企業には日立化成関東電化工業田中化学研究所戸田工業などもある。二次電池向け正極材料を手掛ける田中化学の株価も一時11%高の915円と急騰した。

旭化成株は3カ月ぶり高値を付ける
(株価情報を更新、吉野氏の経歴などを追記します.)
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