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「物言わぬ外国人株主」を優遇、安全保障強化にも対応-外為法改正へ

  • 事前届け出の9割占めるポートフォリオ投資への免除制度を導入
  • 安全保障上懸念ある上場株取得1%から、役員就任も事前届け出に

日本政府は海外からの投資の促進に向けて、経営への関与を目的とせず安全保障上の問題もない外国投資家による上場株式取得の審査手続きを簡素化する。国の安全などを脅かす恐れがある上場株取得の事前届け出基準の厳格化を併せて盛り込んだ外為法改正案を、今臨時国会に提出する方針。

  財務省が8日公表した関連資料によると、国の安全などに関わる業種への対内直接投資の事前届け出義務の対象からポートフォリオ投資を外す「事前届出免除制度」を導入する。株の配当や値上がり益を狙う投資の事前審査期間は大半が5営業日と通常の30日から短縮化されているが、投資実行後にも報告が必要。今後は事後報告を原則とし、外国投資家の事務負担を減らす。

  外国の国有企業による投資や、原子力、武器製造、電力、通信など国の安全を損なう恐れが大きい業種への投資などは免除の対象外とする一方、インデックス投資はこれらの業種への投資も一定の上限を設けて免除する。免除基準の順守状況は事後報告で確認し、守られていない場合は勧告・命令を行う。

  ポートフォリオ投資の事後報告も全取引ごとに求めるのではなく、初回の報告以後は一定の節目を超える株式取得の際のみに軽減。報告期限も現行の翌月15日までから45日以内に延長し、報告様式や書類提出方法などは簡素な手法を取り入れる。

  また、投資組合(ファンド)からの対内直接投資の事前届け出手続きも見直す。外国投資家の出資比率が50%以上で無限責任組合員(GP)も外国投資家の場合、届け出義務者を組合に一本化し、事務負担を減らす方向。現在はGPと有限責任組合員(LP)が外国投資家の場合、組合全体での外国投資家の出資比率に関わらず、各GP・LPの名前で事前届け出が必要だ。

  このほか、金融商品取引法上5%を超える株式取得は大量保有報告書の提出が必要となっており、関連法制との連携を図ることも検討課題の一つとしている。事前報告免除制度の対象範囲などの詳細な制度設計は、投資家と議論した上で、来年の株主総会シーズンまでに政省令で定める方針。

  一方、国の安全などを損なう恐れがある対内直接投資は規制を強化する。現在は指定業種の上場株を10%以上取得した際に必要な事前届け出の対象を1%以上に拡大する。会社法上1%の株式取得で株主総会での議題提案権を得られ、経営に一定程度関与できることを踏まえた措置。投資先企業の役員への就任や重要事業の譲渡・廃止提案など、経営への影響力行使につながる行為も事前届け出の対象に加える。

対内直接投資、2020年に35兆円へ

目標設定から5年で10兆円増

出所:財務省

  政府は対内直接投資を2013年の約20兆円から20年までに35兆円に増やす目標を掲げており、18年末は30兆円超。人口減少や少子高齢化が進む日本に経済成長の糧となる海外資金を呼び込むため、今回の審査制度見直しにより事前届け出の9割を占めるポートフォリオ投資の促進を図る。同時に安全保障重視の観点から欧米で広がる規制強化の動きにも遅滞なく対応する。

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