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日米貿易協定に署名、為替など今後の「厳しい交渉の扉」-Quicktake

  • 日本は臨時国会での早期承認目指す、米側が見込む来年1月発効
  • 車追加関税回避で日本は明確な確認主張、米と認識共有に疑問の声も

日米両政府は7日、ワシントンで日米貿易協定の署名式を行った。日本は米国産農産物、米国は産業機械など自動車を除く工業品の関税を撤廃・削減する。日本側は臨時国会で早期の承認を得て、米国側が見込む来年1月1日までの発効を目指す。

  協定では、日本はコメの無関税枠設定は回避したが、牛・豚肉は環太平洋連携協定(TPP)と同水準の関税に引き下げる。日本側が求めていた自動車・同部品の関税撤廃については、継続協議となった。

  みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は、今回の合意は米国が農業分野での成果を急ぐ中で早期妥結となったが、今後包括的交渉となれば、為替条項などを含む「難題を日本に突きつけてくるだろう」と懸念する。今回、農産品市場の開放に応じた日本には、米国の要求をはね返すためのカードはあまり残されておらず、今後の「難しく厳しい交渉の扉を開くものとなったとも言える」と指摘した。

US-POLITICS-GENERAL ASSEMBLY-DIPLOMACY

共同声明署名後に握手する安倍晋三首相とトランプ米大統領

1.米国はどう評価?

  トランプ米大統領は協定署名式で、米農家と牧場経営者にとって「状況は一変する」と成果を誇示。大統領選を控え、農業分野での実績をアピールしたいトランプ氏を後押しするものとなった。ただ今回の貿易協定については、「第1段階」と位置付けており、「かなり近い将来最終的な包括的協定にしたい」との期待も表明している。

正式署名式の記事はこちらをご覧下さい

2.日本にとっては?

  日本が「聖域」とするコメを関税削減の対象から除外したことを最大の成果と位置付ける。安倍晋三首相は「まさにウィン・ウィン、相互のステークホルダーから評価が得られる協定を作り上げた」との認識を示す一方、農業従事者の不安への対応として、生産基盤の強化など対策を講じる方針。

3.注目の自動車追加関税は?

  米国が安全保障上の観点から検討する米通商拡大法232条に基づく自動車・同部品への25%の追加関税については、署名文書では触れられていない。また先月の最終合意の際に出した共同声明でも、米側が追加関税を課さない旨が漠然とした表現で書かれているだけだ。ただ、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は最終合意の際に、「現時点で日本車に追加関税を課す意図はない」と表明している。

  追加関税回避については、日本側は入念に言質を取ったことを強調する。茂木外相は1日の自民党の会合で、日米首脳間では小人数、拡大会合の2回確認したと説明。輸出の際の数量規制等の措置を課さないことについてもライトハイザー氏に確認した上で、口外することについても「構わない」との「明確な確認」を取ったとの認識を示した。

4.今後の懸念材料は?

  トランプ大統領は、来年の大統領選で民主党の有力候補とされるバイデン前副大統領の調査を行うようウクライナの大統領に圧力をかけたとの疑惑を巡り、下院で弾劾調査が行われるなど国内で厳しい状況に置かれている。再選を目指す戦略の中では、通商関係で目に見える成果を上げようと各国への要求を強める可能性もある。

  みずほ総研の菅原氏は、中国に加え、欧州との通商交渉が難航した場合には、日本への要求が再び強まる可能性もあるとの見方を示す。自動車の追加関税も、今回の協定で「未来永劫(みらいえいごう)、日本が適用除外ということにはならない」と指摘。日本側は口頭約束も含めて確認されたというが、米国側の文書には言及はなく、日米両国で認識が「共有されているかというと疑問符が付く」とした。

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