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Photographer: Yuya Shino
Cojp

日本企業の企業統治に注目、元ジェフリーズのカーン氏がファンド設立

  • ジェフリーズの元調査部長カーン氏、UBPでヘッジファンド
  • 将来のガバナンス改善が株価に織り込まれていない会社などに投資

ジェフリーズ証券で調査部長を務めたズへール・カーン氏は、同社在籍時からコーポレートガバナンス(企業統治)が不十分で問題発生のリスクがある日本企業のリストを取りまとめていた。これを活用し、スイスのプライベートバンク、ユニオン・バンケール・プリヴェ(UBP)で新たにヘッジファンドを立ち上げる。

  同氏は最近ジェフリーズを退職し、年末までに新ファンドを設立することを計画している。ファンドはロング・ショート戦略を採用、ガバナンスが健全で過小評価されている企業30社程度の株式を買い、ガバナンスに改善余地のある過大評価された約60社の株を売る方針だ。

  ブルームバーグの取材に応じたカーン氏は、「将来的なガバナンスの改善が織り込まれていないため日本株のバリュエーションは極めて低く、そこに膨大な上昇余地がある」と指摘。その上で「2-3年前であれば、このようなファンドを立ち上げることはできなかったかもしれない」と話した。

  基本的にはガバナンスの善し悪しが株価に影響するとの考え方に基づき、ガバナンス改善の有効性に期待して投資する。アクティビスト・ファンドのように課題を抱えた会社に投資しさまざまな要求を突きつけるスタイルとは異なるという。

  日本では機関投資家の行動規範を示すスチュワードシップ・コードや、上場企業が守るべき原則を示したコーポレートガバナンス・コードが近年導入されたことで改善の傾向はあるが、進展のスピードは遅い。

  一方でガバナンスの不備が大きな問題に発展する事例は多く、直近では関西電力の幹部などが総額約3億2000万円相当の金品を、原発が立地する自治体の元助役から受け取っていたことが問題視されている。

Japan Nuclear Scandal Deepens as Chairman Admits to Taking Gifts Since 2006

総額約3億2000万円相当の金品を幹部が受け取っていたことを認めた関西電力の岩根茂樹社長(9月27日)

Photographer: Naoki Maeda/Yomiuri Shimbun

  カーン氏は日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が昨年11月に逮捕される以前からスキャンダルが発生するリスクの高い企業の1つとして同社を認識していたという。

  リストの作成では「さまざまな角度から改善の努力をチェックし、官僚や政治家、規制当局、取引所、企業、投資家、ファンドマネジャー、ヘッジファンド、物言う株主などたくさんの関係者と話をした」と説明。「これらを多くのガバナンス関連データや定量的な分析と組み合わせた」と述べた。

  同氏はさまざまな情報を組み合わせ、ガバナンスの改善で良いパフォーマンスを示しそうな銘柄、および改革に抵抗しパフォーマンスが落ちそうな銘柄を判断するといい、「こういった洞察が新しく立ち上げるファンドの戦略の柱となる」と語った。

  ファンドの資産規模についてはコメントを控えた。東証株価指数(TOPIX)を構成する500銘柄の中から選び、約12業種程度にまたがる見通し。利回りは年率で2桁台を目指す。

  「当初のガバナンス水準の低さや、企業に対する株主の忠実さを考えると、日本でコーポレート・ガバナンス改革が完全に実行されるまでには少なくともあと10年はかかるだろう」との見方を示した。

  カーン氏はジェフリーズ証券に在籍する以前は、APSアセット・マネジメント、UBSアセット・マネジメント、シティグループ・アセット・マネジメントなどに在籍。日本語も流ちょうで、マサチューセッツ工科大学(MIT)のスローン・スクール・オブ・マネジメントやペンシルバニア大学を卒業した。

原題:There’s a New Hedge Fund for Badly Governed Companies in Japan(抜粋)

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