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利下げと超長期金利の低下防止の両立困難、量拡大の公約が足かせ

  • 超長期債市場は国内だけでなく海外からの投資資金で需給逼迫
  • 日銀は政策枠組みの「弾力運用」に踏み切る内容示すー三菱モルガン

日本銀行の黒田東彦総裁が9月に利回り曲線の傾斜化誘導を示唆する発言をしたのを受けて、マイナス金利の深掘りと同時に超長期金利の低下防止策が打ち出されるとの観測が市場に台頭している。ただ、金利低下を抑えるには国債購入を減らすしかなく、両立は難しいとみられている。物価目標達成のために資金供給を拡大させるという日銀の公約が制約となるからだ。

  日銀の超長期債の買入額は月4500億円と、マイナス金利を導入した2016年2月当時の月2兆2000億円程度から大きく減っているが、超長期物の取引の中心である20年金利は足元で0.2%前後と当時の4分の1程度の水準にとどまっている。世界経済の下振れリスクの高まりや日銀の国債保有額増大で金利低下圧力が強まっていることが背景だ。

BOJ to Review Prices and Economy After Standing Pat for Now

Haruhiko Kuroda

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  日銀は前月末に公表した10月の長期国債買い入れ方針で、残存25年超の下限をゼロとし、場合によってはオペを見送る可能性を示唆した。野村証券の中島武信シニア金利ストラテジストは、買い入れをゼロにしても超長期金利の上昇余地は「限定的」とみる。

  日銀には物価上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース拡大方針を継続するというオーバーシュート型コミットメントの公約がある。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、世界的な金利低下圧力が高まると、需給の逼迫(ひっぱく)を和らげて超長期債利回りの低下を抑制する手法とマネー拡大の公約の共存が「徐々に難しくなってしまう」と指摘する。

  超長期債市場では、運用難の生命保険会社や年金など国内投資家だけではなく、海外からも利回りを求めた投資家の資金が流入しているため、需給の逼迫した状態が続いている。世界的に金利が再び低下基調を強める中で、黒田総裁の思い通りに国内の利回り曲線が傾斜化へ進むのは難しいと指摘する市場関係者は多い。

  日銀が10月に開催する金融政策決定会合を巡っては、JPモルガン証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、東海東京証券などはマイナス金利の深掘りを予想している。

  市場では、長期・超長期金利の過度な低下の防止、地域金融機関への収益悪化への対応など政策の持続性を高めるための副作用対策も同時に打ち出すとみられている。三菱UFJモルガン・スタンレー証の六車治美シニアマーケットエコノミストは、オーバーシュート型コミットメントについても「弾力運用」に踏み切る内容を示すと予想している。  

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