コンテンツにスキップする

地銀にのしかかる重圧、利益維持にリスク不可避-チャートが示す苦境

  • 国内融資や海外投資で損失拡大続けば簡単に重圧にさらされる
  • 自己資本比率の低下で含み損の損失処理が困難な地銀も
General Images Of Regional Japan Economy As BOJ Concludes Policy Meeting

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

General Images Of Regional Japan Economy As BOJ Concludes Policy Meeting

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

長引く超低金利政策の影響で地方銀行の稼ぐ力は弱まり、一定のリスクを取ることを余儀なくされている。利回りがマイナスで推移する国債保有を大幅に減らす一方、外国債券や証券化商品の保有を増やしている。不動産や中小企業への融資も増加傾向にある。チャートとともに苦境にあえぐ地銀の状況を読み解く。

  地銀への逆風は、日本銀行によるマイナス金利政策だけではない。少子高齢化が急速に進展した結果、総人口は2008年をピークに減少に転じており、地域の経済規模は縮小し、労働力不足も顕著だ。金融庁は2019事務年度(19年7月ー20年6月)の金融行政方針で、銀行法改正や監督指針の改正によって経営改革を促すとした。

  金融調査会社クレジットサイツのアジア銀行調査共同責任者のデービッド・マーシャル、イスマエル・ピリ両氏は「日本の銀行はいつ事故にあってもおかしくない」と9月24日付のリポートで指摘。「国内融資や海外投資が損失拡大につながるという不運な環境が続けば、いとも簡単に重圧にさらされることになる」と見る。

  SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、地銀の経営環境について「資金利益が回復する見込みもなく、与信費用も増加傾向で収益的にも厳しい」と語る。自己資本比率も低下していることから、含み損を抱えた有価証券ポートフォリオを再構築するための損失を計上することすら難しい銀行もあると指摘する。

チャートが示す地銀の苦境

(1)利益縮小

  金融庁によると、地銀や第二地銀を合わせた100余行の19年3月期の純利益合計は7年ぶりの低水準となった。貸付利息など銀行の主要業務から得られる資金利益は過去10年間減少しており、09年度比で約17%減となっている。一定利益を確保するために保有株式や債券の売却を増やす傾向にある。

  米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは8月、七十七銀行など地銀12行のベースライン信用リスク評価(BCA)を引き下げ方向で見直すと発表。静岡銀行を除く11行については、預金を遅滞なく返済する能力を示す長期預金格付けを格下げ方向で見直しの対象とした。事業環境の厳しさが増す中、さらなるリスクを取らなければ利益維持が困難であることが見直しの背景だと説明している。

減少傾向にある利益

地銀の純利益合計は7年ぶりの低水準に

出所:金融庁

注:横軸は3月期、縦軸の単位は兆円

(2)外債投資残高が上昇

  国内金融機関は長くデフレ環境下で安全運用が見込める国債保有を続けてきたが、13年に日銀が量的緩和政策を導入してから保有残高は減少している。全国地方銀行協会の統計によると、加盟64行による19年3月期の国債保有残高は約19兆円で、13年度比で45%減少した。

  一方、増加したのは外債などの外国証券の保有残高。外債の保有増は各国の金利動向や地政学リスクにさらされることにつながり、債券市場の変調や為替変動が収益圧迫要因となりかねない。

日本国債からシフト

外債などの比重が高まる地銀の運用先

出所:全国地方銀行協会

注:横軸は3月期

(3)膨らむ与信費用

  アベノミクス政策下での倒産件数減少もあり、国内銀行はここ数年、与信費用を低水準に抑えてきた。しかし、貸出残高を伸ばすために、相対的に信用力の低い貸出先への融資も増やす傾向にあり、地銀105行を合計した19年3月期の与信関係費用は3473億円と前の期と比べて3倍強に急拡大した。

急速に悪化

引当金増加で地銀の与信費用は3倍に拡大

出所:金融庁

注:横軸は3月期、縦軸の単位は10億円

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE