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川崎重:中国建機市場の減速に警戒感ー設備増強計画を延期の可能性も

  • 中国のインフラ投資が想定より伸びず、市場の見方は慎重派が優勢に
  • 需要動向を見極め「リスクとチャンスの大きい方をとる」-執行役員

川崎重工業は、世界の建設機械市場の半分を占める中国の需要見通しを下方修正した。足元の販売が鈍化しているためだ。同国江蘇省の蘇州で新工場を建設する計画も今後の需要の動向次第で延期する可能性がある。同社は建機の油圧部品を手掛け、中国で高いシェアを持つ。

  嶋村英彦執行役員は先週、ブルームバーグとのインタビューで「業界の見方がネガティブな方向へ変わってきている」と述べ、中国市場への警戒感を示した。ここ数年、大幅に拡大していた中国の油圧ショベル市場は、4月以降に減速。同社は今期(2020年3月期)の需要について、前期比で横ばいか減少に転じると予測している。同社は9月30日、油圧部品の販売減少などを理由に今期の業績予想を下方修正した。

Kawasaki Heavy Industries oil hydraulic equipment

川崎重工業・西神戸工場での油圧機器の組み立て

Source: Kawasaki Heavy Industries Ltd.

  川重は、油圧ショベルを動かすのに不可欠な部品を製造し、ポンプと旋回モータ、バルブを合計した世界シェアは5割を超える。中国では、米中貿易摩擦による景気減速で先行き不透明感が増しているほか、景気対策の中心となっているインフラ投資は業界の期待ほど伸びていない。蘇州で建設予定の新工場も需要の低迷が続けば計画を延期し、拡大路線を修正する考えだ。

  嶋村氏は一方で、需要動向が反転した場合には早急に増産体制が取れるよう、土地の手配などを含め準備していると強調。顧客の間では慎重な見方が優勢だとしつつ、中国の建機メーカーは常に積極的に攻める傾向にあり、増産を検討する企業も出てきていると話す。

  嶋村氏は、増産を図る顧客がいるかぎり「ある程度期待に応えられるアクションをしないと市場からいずれ退場していく形になる」と述べ、部品供給を断ることで顧客離れが起きるのを危惧する。需要が旺盛な時期に供給が追い付かず、販売の機会を逃すことがあった。

乱高下する中国市場 

大幅拡大を遂げた油圧ショベルの需要が踊り場に

出所: 野村; 中国建設機械工業会(CCMA)

注: 中国油圧ショベル総販売台数(6トン未満のミニショベルを含む)

  中国の建機市場では近年、競争が激化している。同国のショベルメーカーは製品の品質を向上させている上、低価格で販売攻勢をかけており、コマツや日立建機、米キャタピラーなどの外資系メーカーのシェア低下につながっている。現地メーカーの製品には川重など日系の油圧部品が多く採用されているが、国内で部品を内製化する動きもある。

  株式調査会社グロース&バリュー・ストック・リサーチの伊原翼代表は、「機械の性能を左右する部品を手掛ける川重は中国メーカーにとってなくてはならない存在」であるとし、圧倒的なシェアを持つ同社の牙城を崩すのは容易ではないとみる。一方、競争が激しくなる中で、中国でシェアを維持するためには、顧客が川重の部品を必要としているときには供給者としての責任を果たしていくことが重要と指摘する。

  中国の建機市場は変動が激しく、需要の予測も難しいことから業界各社は設備投資について厳しい判断を迫られる。嶋村氏は「リスクとチャンスの両方を見て大きい方をとる」とし、需要動向を見ながら必要な設備投資を判断していく考えを示した。 

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