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Photographer: Bloomberg/Bloomberg

日銀短観、大企業製造業の景況感が3期連続悪化-海外経済懸念で

更新日時
  • 大企業・製造業の景況感はプラス5、前回調査から2ポイント悪化
  • 非製造業はプラス21に悪化、消費増税で先行き慎重
Morning commuters cast shadows on a sidewalk in Tokyo, Japan, on Monday, May 14, 2018. Japan is scheduled to release its first-quarter gross domestic product (GDP) figures on May 16.
Photographer: Bloomberg/Bloomberg

日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の9月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス5と前回6月調査のプラス7から悪化した。悪化は3期連続で、2013年6月調査以来の低水準。米中貿易摩擦の長期化などを背景に世界経済の減速が続く中、企業心理の悪化が確認されたが、市場予想は上回った。

  ブルームバーグの調査では、大企業・製造業の業況判断DIはプラス1が予想されていた。地政学リスクの高まりもあって世界経済の先行き不透明感が強まる中でも、大きな悪化は回避された。先行きはプラス2と悪化が見込まれている。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference Following Rate Decision

日本銀行本店

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  日銀によると、企業からは海外経済の先行きを懸念する声が聞かれる一方、「半導体の在庫調整が進ちょくしている」(電気機械)などの指摘も出ている。

  大企業・非製造業はプラス21と前回調査から2ポイント悪化。市場予想はプラス20だった。先行きはプラス15と6ポイントの悪化が見込まれおり、1日からの消費増税に伴う個人消費への影響を中心に先行きに慎重な見方が広がっている。

  大企業・全産業の設備投資計画は前年比6.6%増となり、前回調査の同7.4%増から下方修正された。例年よりもやや弱めの結果となったが、日銀では海外経済の不透明感の強まりに加え、人手不足など内需の強さが影響している面もあるとみている。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス5と前回調査から2ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス1
  • 非製造業はプラス21と2ポイント悪化-予想はプラス20
  • 先行きは製造業がプラス2、非製造業はプラス15といずれも悪化を見込む
  • 2019年度の為替想定は1ドル=108円68銭と前回(109円35銭)から円高方向に設定
景況感の動き

エコノミストの見方

日本総研の北辻宗幹研究員:

  • 大企業・製造業はかなりコンセンサスより強かったイメージ。業務用機械が改善、レジなど増税に伴う非製造業の設備投資が効いているようだ
  • 大企業は先行き不安に見ていることがうかがえる。製造業では中国経済の回復の遅れが輸出企業にとってかなり大きい部分。非製造業は増税や日韓関係でインバウンドが落ちているのが懸念されている
  • 設備投資を遅らせる動きが実際出てきている。非製造業も弱くなっている。いつもであれば少し下方修正になる程度が、今回はそこまで強くなかった

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト:

  • まだ非製造業は持ちこたえており、今回の短観をもって製造業の弱さが内需に影響しているとは言えない。ただ大企業・製造業は米中貿易戦争の影響を引き続き受けており、非製造業は消費増税の駆け込みの影響で押し上げられた面がある
  • 電気機械については底打ちの兆しがはっきりしてきた。5Gの動きも本格化し始め、世界的な半導体の在庫調整が終わりつつある
  • 今回の短観で日銀の追加緩和が決定的になったとは言えない。日銀としては今後の経済指標や支店長会議の結果、為替の状況をみながら判断ということになる。プレッシャーが増える内容でなかったのは日銀にとっては良かったのではないか

岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミスト:

  • 市場が見ているよりはましだった。日銀もほっとしているのではないか。これを理由に追加緩和は難しい。日銀としては追加緩和のオプションがあまり残ってないので、何もしないでいいなら10月は何もせずに12月までは待つということだと思う

詳細

  • 全体的に米中貿易摩擦と海外経済減速が業況感に影響-日銀担当者
  • 小幅な悪化にとどまった理由としては、電気機械で改善の兆しを指摘する声や、海外需給判断が小幅にとどまっていることから、企業の実感としてはそこまで需給が悪化しているということではないかもしれない-日銀
  • 小売り、対個人サービスなどでは先行き増税の影響を懸念する声が聞かれた-日銀
  • 駆け込みの影響を指摘する声も聞かれた-日銀
  • 設備投資は下方修正なものの高水準を維持-日銀
    • 製造業の計画は例年よりもやや弱め。背景には海外経済の不透明感と人手・資材不足という内需の強さによる面もある
  • 大企業製造業の売上高の輸出計画マイナス、16年度実績以来-日銀

背景

  • 日銀の黒田東彦総裁は9月26日の証券大会で、海外経済について「現時点で持ち直しに転じるはっきりとした兆しは確認できない」とし、下振れリスクは高まりつつあると指摘。物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる恐れに「より注意が必要な情勢になりつつある」と語った
  • 日銀は10月の金融政策決定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」方針を表明。今後の日銀の政策運営を占う意味でも、短観をはじめとする経済・物価指標の重要性が一段と増している
  • 消費税率が10%に引き上げられた。政府は景気への悪影響を抑えるため、軽減税率制度の導入やキャッシュレス決済へのポイント還元などさまざまな対策を用意したが、今後の内需への影響を慎重に見極めていく方針だ
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました.)
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