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Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

駆け込み需要は勢い欠く、安倍政策効果か意欲減退か-1日に消費増税

  • 一部高額商品の売れ行き好調も14年の前回増税時の伸びには届かず
  • 政策効果の終わるころに駆け込みや反動減が出る可能性も-大和総研
A point-of-purchase display on consumption tax increase is seen as a customer and employee look at washing machines displayed for sale at a Bic Camera Inc. electronics store in Tokyo, Japan, on Thursday, Sept. 5, 2019. Overly optimistic views of how the economy would ride out the sales tax in 2014 left red faces in government offices and the Bank of Japan when the economy shrank 7.3% in its aftermath. This time round, Prime Minister Shinzo Abe’s administration has bent over backwards to ensure that the tax hike doesn’t upend the economy at a highly vulnerable time.
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

日本の消費税率が10月1日に8%から10%へ引き上げられる。増税前の駆け込み需要は2014年4月の3%増税時と比べると勢いに欠けたようだ。安倍政権による消費の反動減対策の効果か、それとも消費意欲の減退なのか、見方は定まっていない。

  日本百貨店協会によると、8月の全国百貨店売上高は前年比2.3%増と5カ月ぶりにプラスに転じた。美術・宝飾・貴金属(23.8%増)、家電(22.8%増)、家具(11.5%増)など高額商品の販売が好調だった。9月も売上高は4-5%増で推移したが、約25%伸びた14年3月ほどの駆け込み需要はないとしている。

高額商品の販売好調も、14年の伸びに届かず

全国百貨店売上高の前年同月比推移

出所:日本百貨店協会(売上高総額の対前年同月比の伸び率を採用)

  ビックカメラ広報の山崎哲哉氏によると、9月に入ってからのテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の販売は前年の2倍。日増しに売り上げが伸び、52.7%増を記録した14年3月並みの伸び率に達する可能性はあるが、9月は家電需要の閑散期に当たるため、売上高は14年の実績を下回るという。

  ヨドバシカメラの9月1-22日までの4K液晶テレビの売上高は前年同期比2.2倍と、前年同月比1.5倍だった14年3月の伸び率を上回る。一方、エアコンは2倍(14年3月は2.2倍)、冷蔵庫は1.4倍(同1.8倍)と14年3月を下回る伸びにとどまる。経済産業省によると、ラグビーワールドカップや東京五輪を前に4Kテレビには動きが見られている。

家電販売は好調も、9月は需要閑散期

ビックカメラ、売上高の前年同月比

出所:ビックカメラ

  大型家具などを扱うニトリの月次売上高(20日締め受注)は8月に12%増、9月に22%と増えたが、14年2月の11%増、3月の32%増には届かなかった。大塚家具の広報担当、岩城真紀氏によると、8月から受注が前年を上回り、9月も1-23日までで前年同期比2割弱増えているが、14年3月の35%増に比べると少なめだ。

  全国スーパーマーケット協会の長瀬直人主任研究員によると、9月に入り酒や日用品など一部商品に増税前セール実施などの動きが見られたものの、目立った駆け込み消費は見られておらず、14年対比で需要の山は大幅に低くなることを見込む。

前年割れ続くスーパー、目立った駆け込み見られず

スーパーマーケットの総売上高、前年同月比

出所:全国スーパーマーケット協会

  大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、前回増税時と比べた駆け込み需要の少なさについて、消費の基調の弱さも根底にあるものの、「政策対応の効果が大きい」とみる。ただ、その評価に関しては「政策効果の終わるころに駆け込みや反動減が出る可能性もあり、もう少し長く経過を見る必要がある」と言う。

  政府は消費増税に際し、幼児教育の無償化や自動車・住宅減税の拡充、飲食料品への軽減税率、10月から来年6月まで実施する中小店舗でのキャッシュレス決済のポイント還元などさまざまな対策を講じた。14年4月の前回増税後に消費が落ち込み、同年4-6月期にマイナス成長に陥った経験を踏まえた措置だ。

  国民経済計算年報によると、同期の家計の目的別最終消費支出で、前期に比べ最も減ったのは、家具・家庭用機器・家事サービスの18%減、次いで被覆・履物の17%減、娯楽・レジャー・文化14%減だった。

  都内の会社でインターンとして働く林杏紗さんは、今回の消費増税について「どうせ2%。増税前に過剰に何か買っとくということはない」と語る。増税後にセールがあれば「化粧品や服などはその時に買いたい」と言う。

  三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主任研究員は、駆け込み需要の弱さの背景には、政策効果による前向きな動き、購買意欲がないネガティブな側面、ポイント還元を巡る消費者の混乱-の3つの可能性が考えられると指摘。10月は消費が落ち込むと予想した上で、増税の影響は「11、12月の数字を見てようやく軽かったか、深刻かが分かる」と語る。

物価が「10-12月にマイナスも」

  8月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除くコア指数が前年比0.5%上昇と17年7月以来の低い伸びにとどまった。日本銀行が掲げる2%目標の達成には程遠い状況だ。 

  スーパーマーケット協会の長瀬氏によると、10月から中小店舗でのキャッシュレス決済のポイント還元が始まるのに伴い、それに対抗した大手企業のポイント還元策やキャッシュレス事業者による独自ポイント上乗せなどの動きが出ている。さらに商品値引きや会計時即時ポイント還元などの動きもあり、実質的な価格競争が激化するとみる。

  三菱UFJリサーチの小林氏は、「消費増税直後の消費の落ち込みを警戒し、一時的な値下げも含めて販売サイドはそれなりの覚悟で挑む可能性がある」と指摘。「物価は相当低い伸び、場合によっては10-12月はマイナスになる可能性がある」とみる。

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