パウエル議長、その気になれば利下げ可能-当局者間の見解に違いでも
Christopher Condon-
ドット・プロットは利下げを巡って3つの意見があることを示す
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実際は今年のFOMCで投票権を持つメンバーの意向が重要
米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者のドット・プロット(金利予測分布図)は、金融政策が今後3カ月にどこに向かうべきか、当局者の間に大きな意見の隔たりがあることを示している。
そうであっても、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が2019年中にもう1回の利下げを最終的に望むのであれば、同僚である他の当局者の支持を得るのに困難はないだろう。

パウエルFRB議長
前ミネアポリス連銀総裁で、現在はロチェスター大学の経済学教授を務めるナラヤナ・コチャラコタ氏は「FOMCの内部事情を理解する上で、ドット・プロットは極めて不完全な方法だ」と指摘。「パウエル議長が年内の追加利下げ実施に傾いているなら、十分それを実現することができるだろう」と語った。
18日公表の最新のドット・プロットでは、FOMC参加者17人中7人が年内のさらなる利下げを見込んでいることが明らかになった。残り10人のうち5人は同日に決めた今年2回目の利下げでもう十分とする一方、別の5人は同日の利下げは不要だったとの見方を示した。
こうした見解の相違を踏まえると、10月29、30両日と12月10、11両日の年内あと2回のFOMCで、追加利下げに対して強い抵抗に直面することも想定される。

Projections for Fed Funds target rate
しかし、各ドット(点)の背景事情を見てみるとともに、FOMC内部の投票の力学を理解すれば、異なった状況が浮かび上がるだろう。
まず、年内もう1回の利下げを見込む7人に、この数カ月を通じて最もハト派的姿勢を維持しているセントルイス連銀のブラード総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が含まれるのは明らかだ。
今月のFOMCで0.5ポイントの大幅利下げを主張したブラード総裁は今年の投票権メンバーであり、パウエル議長が追加利下げの必要性を確信するのであれば、地区連銀総裁のうち1人は支持が得られる。
さらに金融当局者に対しては、パウエル議長の下で一致団結した姿勢を示さなければならないという圧力が働くことも重要だ。
FRBで金融政策局長を務めた経歴を持つビンセント・ラインハート氏によれば、金融当局内にはいかなる政策決定であってもコンセンサスを形成すべきで、反対票は基本的に議長への批判に相当するとの理解があるという。
原題:Powell in Position to Overcome Divisions Seen in Fed’s Dot Plot(抜粋)