来週の日本株は反発、景気指標の底堅さを評価-過熱感は重し
長谷川敏郎-
米ISM製造業は50を回復見込み、非農業部門雇用者数も増加へ
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中国製造業PMIは小幅の改善予想、騰落レシオは過熱を示唆

10月1週(9月30日ー10月4日)の日本株は反発が見込まれる。米国や中国など重要経済指標の堅調さや政策期待の高まりから投資家心理がやや改善しそう。半面、急ピッチで上昇してきたことから、上げ幅も限定される可能性がある。
米国では1日に9月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数、3日に同非製造業景況指数、4日は雇用統計が予定される。市場予想はISM製造業が50.5(前回49.1)、非製造業が55(同56.4)、雇用統計における非農業部門雇用者数は14万人増(同13万人増)の見込み。特に急低下していたISM製造業の底打ちや雇用の堅調は好感される公算が大きい。中国で9月30日に予定される製造業購買担当者指数(PMI)も49.6(同49.5)と横ばい圏の見込みで、グローバル景気の底堅さが評価されるとみられる。
国内では10月1日に日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)が発表されるほか、消費税率が10%に引き上げられる。短観での大企業製造業の業況判断DIは7から2に低下の見込み。株価は景況感悪化を懸念して夏場に低迷していただけに影響は限定的の見込み。一方、日本株は9月の上昇率がグローバルでみても大きくアウトパフォーム、東証1部の騰落レシオは129%と経験則的に「過熱気味」とされる120%以上にとどまるなど、短期的な買われ過ぎ感から戻り売りも出やすいと想定される。9月4週のTOPIXは週間で0.7%安の1604.25と6週ぶりに反落。
≪市場関係者の見方≫
JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト
「上昇がメインシナリオ。市場では米国は製造業が悪いものの、住宅指標は強くて大丈夫と言われている。米中貿易戦争の悪影響がいったん和らぐ中で、ISMは50を回復してもおかしくない。ISMが改善すれば、景気への懸念はさらに和らぐだろう。中国の景気減速懸念は市場でかなり織り込みが進んでいる。PMIで下振れしても、政策期待が高まることで大きく株価は崩れにくい。日銀短観は鈍化を織り込み済みで、予想以上に悪ければ日銀の追加緩和期待が出てくるため、むしろ株高圧力になりそう。一方、米国株はPERに割高感が出ており、上値は重くなっている。仮にISMが下振れた場合は、下落リスクも大きくなる」
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト
「買い戻しは一巡し積極的に買う材料もなく、ロングオンリーや中長期資金が買いを入れるにはまだ早い。米中は口先で歩み寄っているようにみえるが、10月上旬にワシントンで開く予定の米中閣僚級貿易協議で、発動済みの関税の引き上げを見送る、もしくは第4弾の残りを中止するなどの具体的内容が出れば、中長期資金も買いを入れるだろう。消費税増税が影響するのは時価総額が大きくない消費関連中心で、株価への影響は限定的。それよりも主力産業の自動車、機械、電機が鍵になる。そういう意味でも10月後半からの中間決算を見極めるまで様子見ムードがまだしばらく続くだろう」