ソニー、ESGへの投資家の関心「非常に高まる」-長期的に高収益
古川有希-
東証1部企業のうち社外取締役比率は2位、女性取締役比率で6位
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2018年のESG投資は約31兆ドルと16年から34%増加
ソニーの神戸司郎常務は26日、環境、社会、企業統治(ESG)への取り組みに関する説明会で、「投資家、株主からの関心も非常に高まっている」と述べ、ESGを重視する姿勢を示した。
神戸氏は、「長期視点で持続的に高収益を目指していくためには社会価値を創造し続けることが大事だと考えている」と強調した。取り組みを一層強化し、投資家の意見を経営に反映していくという。

ソニーはESGを重視する
ESG説明会を開催するのは、昨年に続き2回目。機関投資家の間でESGを一つの尺度とした投資が加速する中、ESGに関する課題への具体的な取り組みを示しながら、長期的な企業価値の向上を目指す。
企業統治に関しては6月、外国人1人、女性2人を新たに社外取締役に選任し、多様化を図った。役員の業績連動報酬の評価にも品質・環境といった定性的な要素を加えた。環境への取り組みでは、2040年までに自社で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指している。社員のがんや不妊治療を支援する制度も新たに導入する。
ソニーでは経営を透明化するため取締役13人のうち内部からの登用は2人にとどまる一方、女性比率は3割に達する。ブルームバーグのデータによると、東証1部企業のうち社外取締役比率は2位、女性取締役比率で6位となっている。
世界のESG投資残高31兆ドルの地域別割合
日本は世界全体の7%
出所:世界持続可能投資連合(GSIA)
2018年のデータから作成
世界持続可能投資連合(GSIA)によると、ESGに取り組む企業への投資額は2018年で約31兆ドル(約3300兆円)と16年から34%増加。日本の額は全体の7%だったが、16年比で4倍となった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の調査でも、投資家を意識して企業がESGに関する情報の開示を進めている姿が浮き彫りになった。
安倍晋三首相は24日(米国時間)、国連本部でのスピーチで、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を達成するには、民間企業の取り組みがカギを握るとの見方を示し、「ESG投資やイノベーションを促し、民間の取り組みを後押しする」と発言した。
日立製作所も24日に初めてのESG説明会を開き、企業統治強化策や人材戦略などを説明した。19年度から事業部門ごとの監査役員制度を導入した。子会社の日立化成は18年、産業用鉛蓄電池などで品質検査不正があったと発表していた。