トランプ氏、ウクライナにバイデン氏調査で協力要請-会談記録
Chris Strohm、Justin Sink-
7月の米ウクライナ首脳電話会談の記録文書をホワイトハウスが公表
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トランプ氏は軍事支援凍結に言及せず、「疑惑は晴れた」との声も

トランプ大統領
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トランプ大統領
トランプ米大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領との7月25日の電話会談記録の公表を命じることで自らを一段と政治的危機にさらす危険を冒した。ゼレンスキー氏に対し、個人弁護士のルディ・ジュリアーニ氏とバー米司法長官と協力して、来年の米大統領選の有力候補である民主党のバイデン前米副大統領について「調査」するよう求めていたことが記録から明らかになった。
記録によればトランプ氏はさらに、2016年米大統領選の選挙期間中にハッキングされた民主党全国委員会のコンピューターサーバーをウクライナが特定できるかゼレンスキー氏に尋ねてもいた。

ウクライナのゼレンスキー大統領
トランプ氏は電話会談でバイデン氏について複数回言及。バイデン氏が副大統領当時、息子が勤務する会社を助ける目的でウクライナ検察トップの解任を働き掛けたとトランプ氏は主張した。ただ、この主張の信ぴょう性については広く疑問視されている。
記録によれば、トランプ氏は電話会談で、「バイデン氏の息子については多くのうわさがある。バイデン氏が訴追を阻止したというもので、それを知りたがっている人は多い。そこで米司法長官とウクライナが協力できるなら何であれ素晴らしい」と、バー長官に言及しつつゼレンスキー氏に述べた。
これに対してゼレンスキー氏は、自らが指名する新たな検事総長が「状況を調査する。特にトランプ大統領がこの点で言及した企業を調べる」と応じたという。
ペロシ米下院議長は24日、トランプ大統領の正式な弾劾調査を開始すると発表。トランプ氏が4月に当選したゼレンスキー大統領に対し、軍事支援再開の見返りとしてバイデン氏の家族に関連する刑事捜査をあらためて行うよう圧力をかけたかどうかが調査の焦点となる。ウクライナは米国の軍事支援に依存している。
公表された記録によると、電話会談は30分間行われた。最初のページの下で「一言一句の記録ではない」と注意を促している。
それによれば、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、将来の米軍事支援はバイデン氏調査が条件だとは明言せず、この電話会談の直前に軍事支援を凍結したことにも具体的には触れなかった。ゼレンスキー氏は電話会談の初めの段階で米軍事支援に感謝を伝え、米国に対戦車ミサイルを追加発注する用意があると述べており、支援停止に気づいていなかったことがうかがえる。
これに対しトランプ氏は「一つお願いしたいことがある。米国はこれまでたくさんのことをしてきた。ウクライナは十分承知しているだろう」と話し、その後、バイデン氏に関するものも含めトランプ氏が望むさまざまな調査が両首脳の間で話し合われた。
「疑惑は晴れた」とトランプ氏支持者
トランプ大統領の支持者らは、電話会談の記録により、大統領が明確な形で軍事支援とバイデン氏調査の要請を関連付けていなかったことが分かったため、大統領の疑惑は晴れたと述べた。
ゼレンスキー氏も25日、国連総会に合わせて行ったトランプ大統領との会談で、7月の電話会談について「誰も強い圧力をかけなかった」と発言。「われわれは良い電話会談を行ったと思う。普通の話し合いだった。われわれは多くの事について話した」と英語で語った。
ゼレンスキー氏はその後、ウクライナ語で記者団に、「私は誰にも何の借りもない」とし、「この件がどのようなものであれ」、新検事総長が「捜査するはずだ。約束など存在しようがない」と説明した。
原題:Trump Escalates Political Jeopardy With Release of Ukraine Call;Trump Escalates Political Jeopardy With Release of Ukraine Call ; (抜粋)