英トーマス・クックのCDS保有ヘッジファンドに2.5億ドル支払いへ
Katie Linsell-
ISDAのEMEA判定委員会、強制的清算を信用事由に該当と判断
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ヘッジファンドのソナ・アセットとXAIAが支払い受ける立場に
178年の歴史を持つ英国の老舗旅行会社トーマス・クック・グループの経営破綻で2万1000人の雇用が危機にさらされ、世界各地で旅行者が立ち往生となったが、全員が痛手を被ったわけではない。
ヘッジファンドのソナ・アセット・マネジメントとXAIAインベストメントは、トーマス・クック破綻で最大2億5000万ドル(約269億円)を受け取る立場にある。
両社は企業のデフォルト(債務不履行)時に支払いを受けられるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に投資していた。
国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の欧州中東アフリカ(EMEA)判定委員会は23日夜、トーマス・クックによる同日の強制的清算は信用事由に該当すると判断。米国での連邦破産法15条の適用申請も決済するに十分な理由だとしながらも、2003年の定義に基づくCDS契約に限定されるとした。これは先週満期の契約を持っていた投資家も支払いを受けられる可能性を意味する。

9月23日にマンチェスター空港に駐機したトーマス・クックの航空機
CDSはヘッジファンドが経営難の企業に賭ける一般的な手法だが、デフォルト時に必ずしも支払いが行われるとは限らない。
トーマス・クックの救済が実現していれば、同社社債のCDSは無価値となる可能性があったため、ソナなどの投資家はそうした事態を阻止する構えだった。CDSの保有者はトーマス・クック債の株式への転換計画に関連した技術的側面について懸念していた。
スプレッド・リサーチのシニアクレジットアナリスト、マーク・ピエロン氏はトーマス・クックの破産申請などでヘッジファンドは明らかに安堵(あんど)したと指摘した。

原題:
Hedge Funds in Line for $250 Million on Thomas Cook CDS Payout(抜粋)